パブオーナー殺害 無念の兄「両親の生きがいだった」 - 産経ニュース

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パブオーナー殺害 無念の兄「両親の生きがいだった」

悔しさをにじませながら稲田さんへの思いを語った兄の雄介さん=7月4日午後、石川県小松市 (小川恵理子撮影)
悔しさをにじませながら稲田さんへの思いを語った兄の雄介さん=7月4日午後、石川県小松市 (小川恵理子撮影)

「真優子(まゆこ)の頑張っている姿を見ることは両親にとって生きがいだったし、僕にとっては目標だった」。大阪市北区天神橋のビル5階のカラオケパブ「ごまちゃん」店内で6月、オーナーの稲田真優子さん(25)が殺害された事件で、稲田さんの兄、雄介さん(29)は苦しい胸の内をこう語った。「人を喜ばせたい」と念願だった自分の店を今年1月にオープンしたばかりだった稲田さん。多くの人に慕われた「自慢の妹」との突然の別れに、雄介さんは何度も涙をぬぐった。

幼いころの稲田さんは泣き虫で、友達と遊びにいく雄介さんの後ろをついて回るかわいらしい存在だった。実家を出て働き始めてからは、「両親に家を買ってあげたい」と仕事を掛け持ち。実際に住宅の内覧に足を運んだり、資料を取り寄せしたりしていた。

数年前には、父親の峰雄さん(70)が土木工事の仕事で脚を切断する大けがをした。落ち込む峰雄さんを励まし、一緒にマラソンに挑戦したり、陶芸教室に通ったりもした。両親の誕生日には、手書きの「感謝状」で思いを伝えた。

稲田真優子さん(兄の雄介さん提供)
稲田真優子さん(兄の雄介さん提供)

店でも「お客さんに喜んでもらえる」と苦手だった料理を猛特訓して提供。親孝行で頑張り屋の稲田さんの成長が雄介さんにとって「励みになっていた」といい、店にも行ってみたいと思っていたが、かなわなかった。

大阪地検は9日、殺人罪で、常連客で会社員の宮本浩志(ひろし)容疑者(56)=殺人容疑で逮捕=を起訴した。宮本被告は否認を続け、事件の真相解明は公判に持ち越されることになった。雄介さんは「(宮本被告には)真優子という家族にとってどれほど大きな存在を奪ったのか理解し、罪を認めてほしい」と語気を強めた。(小川恵理子)