五輪無観客、財政負担めぐり国と都が火花 組織委は赤字の公算

五輪開幕を待つ新国立競技場=東京都新宿区(本社ヘリから、佐藤徳昭撮影)
五輪開幕を待つ新国立競技場=東京都新宿区(本社ヘリから、佐藤徳昭撮影)

東京五輪が首都圏の会場で無観客開催となったことで、国と東京都が財政負担をめぐり火花を散らしている。チケット収入の大半が失われ、東京五輪・パラリンピック組織委員会は赤字となる可能性が高いためだ。赤字補塡(ほてん)の責任は主催者である東京都にあるが、都は国からの支援を当て込むのに対し、国はこれを拒否する構えを見せている。

組織委は当初、パラリンピックを含めたチケット収入を約900億円と想定。無観客となることで警備費やシャトルバスの経費は削減されるが、組織委の収支は赤字が見込まれる。

五輪招致時の立候補ファイルでは、組織委の赤字を補塡する責任は国際オリンピック委員会(IOC)になく、一義的には東京都にある。東京都で対処不可能になった場合に国が支援することになっている。

だが、東京都の小池百合子知事は無観客が決まる前から「想定外の事象が生じた場合はIOC、政府、組織委を含めて協議が必要になる」と述べるなど、国の支援を前提に補塡計画を立てたい考えをにじませている。8日夜に無観客が決まった直後の記者会見では言及を避けたが、代わりに都幹部が「関係者で十分協議していきたい」と答えた。

「最初からルールを変えようとしてくるのは受け入れられない。無観客と決めたのは都なのに、なんで支払いだけは国なんだ」

政府高官は9日、新たな財政負担をめぐる協議には応じない意向を記者団に示した。丸川珠代五輪相はもともと「東京都の財政規模を踏まえれば、都が組織委の資金不足を補塡できない事態は想定しがたい」と述べるなど財政支援はしない姿勢を示していた。加藤勝信官房長官は8日の記者会見で丸川氏の答弁を引用し、政府の姿勢が変わらないことを改めて示した。