慰安婦の「性奴隷説」を否定した米ハーバード大のラムザイヤー教授に論文の撤回運動が展開されている問題で、保守系民間団体「国際歴史論戦研究所」は9日の記者会見で、日本学術会議の連携会員3人が論文撤回を求める声明に署名していたことを明らかにした。研究所は9日付で3人の除名処分を求める公開質問状を学術会議に送った。
ラムザイヤー氏は昨年12月、慰安婦が公娼(こうしょう)であったことを前提に、業者との契約を分析した学術論文を発表した。これに対し、米在住の韓国系の学者らが「性奴隷説を否定した内容だ」と批判し、論文撤回を求める署名活動を行っている。
研究所の藤岡信勝理事は会見で「数を頼んで論文を撤回させるやり方は学問的ルールに反し、あってはならない」と批判。「学問的批判はやるべきだが、『撤回しろ』といったら学問的研究は世の中に存在しなくなる」と訴えた。
連携会員は学術会議会長が任命し、約2000人で構成する。学術会議はラムザイヤー氏の研究の自由が侵害されている問題について声明などを出していない。研究所は6月3日に理由を尋ねる公開質問状を学術会議に出したが、期限までに回答はなかったという。