ナイル川「水紛争」再燃 エチオピアがダム貯水 エジプトは水不足懸念 - 産経ニュース

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ナイル川「水紛争」再燃 エチオピアがダム貯水 エジプトは水不足懸念

【カイロ=佐藤貴生】アフリカ東部エチオピアがナイル川上流で建設中の巨大ダムで今年の貯水を始めると表明し、水不足を懸念する下流のエジプトとスーダンが反発を強めている。エチオピアによる貯水は昨年夏の雨期に次いで2度目。エジプトなどは毎年の貯水量や貯水計画について法的拘束力を持つ協定の締結をエチオピアに要求している。国連安全保障理事会は8日、この問題を討議したが対話促進を呼びかけるにとどまり、対立は解消されていない。

問題になっているのは、エチオピアが2011年から建設している総工費約45億ドル(約5千億円)の「大エチオピア・ルネサンスダム」(GERD)。エジプト政府高官は5日、エチオピアから貯水開始の通告を受け、「地域の安定を脅かす一方的な手法には断固として反対だ」とする声明を出した。

エチオピアの狙いは水力発電による電力供給だ。アフリカ最大となる水力発電所(6千メガワット)を稼働させて国内の電力不足を解消するほか、余剰電力を周辺国に売ることを計画する。これに対し、水需要の9割をナイル川に依存するエジプトには、ダムの貯水が急激に進めば水不足に陥り、国の命運を握られかねないとの懸念がある。

エジプト紙によると、エチオピアのアビー首相は「わが国の関心は国内の電力需要に対応するとともに、スーダンとエジプトの懸念を解消することだ」と述べ、円滑な貯水に努める意向を表明した。

アビー氏はエリトリアとの国境紛争を解決したとして19年のノーベル平和賞を受賞した。一方、アビー氏率いるエチオピア連邦政府は今年6月の停戦まで約8カ月にわたり同国北部ティグレ州を拠点とする「ティグレ人民解放戦線」(TPLF)と武力紛争を展開し、国際的に非難を浴びた。スーダンには紛争で4万人以上の難民が流入、混乱が深まっている。