「今朝はどうやったん?」「あかん、打たれたみたい」「え~。いややわ、もう母親の気分やわ」。エレベーターで居合わせたランチ帰りのご婦人らの会話である。聞かずともだれの話題かわかる。米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平だ。これまで大リーグどころかプロ野球にも興味がなかったであろう人たちをも夢中にさせる力がすごい
▶そこでちょっとした既視感を覚え、思い出した。少し前、同じような会話を聞いたのだが、話題は将棋の藤井聡太棋聖=王位=だった。あくまで個人の感想だが、並みいるプロの中で抜きんでる2人の共通点は、本業(野球と将棋)以外にあまり興味がないことである
▶大谷は飲みに行くより練習が好きだというし、藤井にいたっては趣味が「詰め将棋」というのだから。持って生まれた才能はもちろんのこと、わき目もふらず一つのことに打ち込むことができる性格と集中力こそが天才を作る。人を育てるヒントになろう。