希少がん克服、聖火つなぐ 埼玉の渡辺由香さん

希少がんを克服し、聖火をつないだ渡辺由香さん=8日午前、埼玉県川越市(兼松康撮影)
希少がんを克服し、聖火をつないだ渡辺由香さん=8日午前、埼玉県川越市(兼松康撮影)

東京五輪の聖火リレーで8日に埼玉県川越市を走った渡辺由香さん(41)は、希少がんを乗り越えてランナーの重責を果たした。「大病を克服した姿を見せたい」という思いでリレーに臨んだ渡辺さんに、集まった友人らから大きな声援が送られた。

渡辺さんは平成27年、100万人に1人といわれる腹膜偽粘液腫(ふくまくぎねんえきしゅ)を患った。それでも諦めることなく病気について調べ、信頼できる執刀医を見つけ出し、28年に大阪府で手術を受けた。多くの臓器を摘出し、その後も入退院を繰り返した。

28年冬、テレビで目にしたフィギュアスケートの宇野昌磨選手の演技に力づけられ、「宇野選手に会う」と目標を定めてトレーニングを始めた。みるみる体力は回復し、横浜市でのアイスショーやロシアでの大会を見に行くことができた。

8日の聖火リレーでは、スタート地点に集まった家族や会社の仲間、友人らに「頑張って」と声を掛けられ、「目頭が熱くなった」という。それでも走っている最中は笑顔がはじけた。

「感謝の気持ちと、『もう大丈夫だよ』という思いを笑顔に込めた。難病と戦う人に勇気が伝わり、その希望の光になることができたら」

7月下旬には定期検査で大阪府を訪れる予定だ。

「トーチを持って先生に会いに行きます。そこまでが私の聖火リレーです」(兼松康)

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