悪質運転増加の電動キックボード 環境整備を

道交法違反などの容疑で逮捕された容疑者が運転していた電動キックボード=6月4日、大阪市
道交法違反などの容疑で逮捕された容疑者が運転していた電動キックボード=6月4日、大阪市

最近、街中で風を切って運転する若者たちを見かけるようになった電動キックボード。新型コロナウイルス禍で「『密』を避ける乗り物」としても注目を集めている。近隣のレンタル施設をのぞいてみたが、連日ほぼすべての車両が貸し出されており、人気ぶりを実感した。

モーターが搭載されているため、地面を蹴らなくても移動できる。ただ、道路交通法上では「原動機付き自転車(ミニバイク)」に分類されるため、利用には運転免許証が必要だ。サイドミラーやナンバープレートの装着のほか、ヘルメット着用、自賠責保険の加入も義務づけられている。公道で走れるのは歩道ではなく車道だ。

今年4月からは、国の特例措置を受けた国内の4社がシェアリングサービスを東京や大阪、福岡など6都道府県で始めている。4社の電動キックボードはミニバイクではなく「小型特殊自動車」として公道走行が認められており、法定速度は時速15キロ。ヘルメット装着は任意で、自転車レーンなども走行できる。

目新しいうえ、一部に特例措置が適用されるなど、ルールが分かりづらい乗り物とあって、違法走行による事故も多発している。今年5月には、大阪・ミナミの歩道で女性をひき逃げしたとして男が大阪府警に逮捕された。この男は知人女性と2人乗りで歩道を走行していた。6月には、無免許で運転した男が書類送検されている。

一方、国は規制緩和に向けた動きを進めている。警察庁の有識者会議が4月にまとめた中間報告では、時速15キロ以下しか出ない電動キックボードは「小型低速車」に分類。免許不要で、自転車レーンなども走れるようにすべきだとした。

背景にあるのは、多様化する社会的ニーズへの対応だ。小回りが利き、手軽な電動キックボードは次世代モビリティーの一つとして期待されている。高齢者や障害がある人など、さまざまなニーズに対応可能な移動手段が増えれば、より多くの人に生活上の選択肢が増えることにもなる。

だが、現状は複雑なルールの周知が徹底されているとは言いがたい。電動キックボードの車両には、時速数十キロものスピードが出るものもあり、一歩間違えば大事故にもつながりかねない。一部のルール違反が普及の足かせとならないよう、実情に即した早急な環境整備が求められる。

(木下未希)