神戸から広がるミャンマー軍政抵抗運動 支援団体の懸念

セミナーでも「軍政になれば、ミャンマーは丸ごと中国のものになる。中国の貪欲さは台湾、そして日本にもいずれ降りかかる。ミャンマーの民主化はグローバルな問題だ」と、人ごとではないことが強調された。

猶原さんは訴える。「もっともっと、ミャンマー人を支える日本人が必要だ。軍政が潰れるまで抗議し続けるために」

小さい力を合わせて

セミナーでは、参加した若い日本人からこんな質問もあった。

「もしもぼくがミャンマー人だったら、今の状況は不安で怖くて、強いものに従えばいいかと思ってしまう。なぜ命をかけてまで抵抗するのか」

アウン・サン・スーチー氏の誕生日集会。明かりを灯し、母国の平和を祈った=愛知県内(参加者提供)
アウン・サン・スーチー氏の誕生日集会。明かりを灯し、母国の平和を祈った=愛知県内(参加者提供)

これに対し、神戸での抗議活動をリードする30代のミャンマー人女性はこう応じた。「もちろんすごく怖い。日本にいても親が殺されるかもしれないと思うと眠れない」。それでも「軍事独裁政権下でつらい日々を一生過ごすことになることの方がつらい。小さい力でも合わせれば変えられると信じている」と訴えた。

抵抗を意味する3本指を掲げ、軍政打倒を目指す活動において、神戸は中心地の一つになっている。

「色はつけない」

アウン・サン・スーチー氏の誕生日に行われた大集会=愛知県内(参加者提供)
アウン・サン・スーチー氏の誕生日に行われた大集会=愛知県内(参加者提供)

民主派のリーダーで政変後、軟禁状態というアウン・サン・スー・チー氏の誕生日の6月19日、愛知県内の大仏前で、無事解放を願う大集会が開かれ、神戸をはじめ、関西からも多くの在留ミャンマー人らが駆けつけた。

こうした集会には最近、日本人の参加者も増え始めているという。しかし、ミャンマー関西代表の猶原さんが心配しているのが、そうした人たちの背景だ。ある抗議集会では、所属組織・団体の旗やのぼりを掲げる集団や、政治活動家のような人物が紛れ込んでいたといい、「本来の目的とは違うので見つけ次第、参加を遠慮してもらっている」と眉をひそめる。

「純粋にミャンマーの人たちを救いたい思いの人に集まってほしい。私たちの取り組みに(政治的な)色は絶対つけたくない」と猶原さんは強調した。(河合洋成)

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