神戸から広がるミャンマー軍政抵抗運動 支援団体の懸念

抗議集会を開く在留ミャンマー人ら=6月、神戸市兵庫区の湊川公園
抗議集会を開く在留ミャンマー人ら=6月、神戸市兵庫区の湊川公園

「怖いけど、希望と勇気は捨てない」。東南アジアのミャンマーで2月に軍事クーデターが起きてから、自由社会の復活を求める在留ミャンマー人たちによる抗議行動が続いている。支えている日本のグループの中には神戸に拠点を置く団体もあり、6月下旬には、弾圧が繰り返される同国の現状を学ぶセミナーが行われた。在留者たちは「軍政を打倒するまで活動はやめない」と訴え、日本人にも共感の輪を広げている。

悪化する事態

色鮮やかな民族衣装を着た20代の女性が、突然嗚咽(おえつ)をもらした。6月下旬の日曜日、神戸市内で行われたクーデターへの抗議セミナー。マイクを握り、ミャンマー国軍の暴力を説明する中で、思いがこみあげたのだろう。

「軍はテロ組織。国民を守るべきなのに殺害してきた。軍事独裁政権は絶対に認めない、許さない」

セミナーのテーマは「殺されても、殺されても、抗議を貫く」。留学生や国内企業で働くミャンマー人の若者たちが主催した。2月1日にクーデターが発生して以来、ミャンマー軍の弾圧はやまず、抗議する市民の犠牲者は約900人を数える。

セミナー当日、母国の現状を知る参加者が共通して語ったのが「事態の悪化」だった。広がる森林地帯に逃げ込んだ人たちに対して、軍による空爆が始まっているという。

「内戦状態になっている」。そう言って顔を曇らせる彼らが、ここ日本で声を上げることの意義は決して小さくない。「ミャンマーの若者にとって日本は憧れの国。その日本に私たちの側に立ってほしい」。民主派勢力が結成した国民統一政府(NUG)を日本政府が支持するよう活動していくという。

支援する日本人

クーデター後、神戸市内では毎月1回、抗議集会が開かれ、京阪神に住む在留ミャンマー人らがシュプレヒコールを上げている。こうした行動を支援しているのが神戸市長田区に拠点を置く市民グループ「ミャンマー関西」だ。日本語教室の講師ボランティアをしていた猶原(なおはら)信男さん(69)が平成26(2014)年に設立した。

現地の学校や孤児院に文具や玩具を送ったり、在留者の生活・就労支援を行ったりしていたが、新型コロナウイルスの感染拡大でミャンマーへの渡航が制限されていたところ、今回のクーデターに見舞われた。

猶原さんによれば、クーデターの背後には民主政権の誕生で政治的・経済的に追い込まれた国軍の焦りがあるという。特に天然ガスのパイプラインや軍営企業との合弁事業で結びつきが強い中国の思惑とは切っても切れないと指摘し、「クーデターは、暗黒の時代をもう一度作ろうという暴挙だ」と強く非難した。