イラン、核問題で方針検討か 2週間も間接協議中断

イラン核合意再建に向けた協議に参加するイラン、EUの高官ら=6月12日、ウィーン(在ウィーンEU代表部提供、ゲッティ=共同)
イラン核合意再建に向けた協議に参加するイラン、EUの高官ら=6月12日、ウィーン(在ウィーンEU代表部提供、ゲッティ=共同)

【カイロ=佐藤貴生】イラン核合意再建のため同国と米国がウィーンで続けてきた間接協議は6月20日を最後に2週間以上、途絶えている。6月18日のイラン大統領選での反米保守強硬派のライシ司法府代表(60)の勝利を受け、同国が方針を検討しているようだ。8月のライシ師の大統領就任後、欧米との関係が冷え込む公算が大きく、残された任期が短くなった穏健派のロウハニ大統領の在任中に一定の合意に歩み寄れるかが注目される。

間接協議は欧州連合(EU)の仲介で4月に始まり、2015年の核合意から逸脱したイランの核開発の停止と、米国が18年の合意離脱後に科した経済制裁の解除が議題。協議が途絶えていることに関し、欧米の交渉筋はロイター通信にイラン指導部の中で「選挙後の協議」が続いていることが理由だと述べた。

イランでは政策全般の決定権は最高指導者のハメネイ師が握る。ライシ師の大統領就任式は8月5日にあるとの報道もある。

米国は間接協議で制裁の一部を解除する姿勢を示したとされるが、イランは全制裁の解除を求める。米国は将来、弾道ミサイル開発や周辺国への影響力行使を制限する協議も行う方針だが、イランは応じないと言明。双方がハードルを上げて合意を困難にしている。

欧米メディアなどは、ロウハニ師の大統領在任中に何らかの合意に達すると報じていた。米国の制裁でイラン経済は悪化。その一部でも解除されればハメネイ師側近のライシ師の政権に利益がもたらされ、国民の支持につながるからだ。

しかし、イランは態度を鮮明にせず、関係国は懸念を強めている。イスラエルの有力紙ハーレツは5日、同国や米国の政権内で、間接協議がライシ次期政権に持ち越された場合、合意は不可能になるとの見方が出ていると伝えた。

イランは先月24日が期限だった国際原子力機関(IAEA)との協力延長の可否でも回答を留保。2月に未申告の核施設への抜き打ち査察の受け入れを停止し、IAEAとの協力の範囲を限定した。同国が管理する核施設の監視カメラのデータをIAEAが入手できないと、核開発の実態把握は困難になる。

同国は6日、核爆弾に使用可能な金属ウランの濃縮度を20%に引き上げると表明。4月には核兵器級に近づく濃縮度60%の濃縮ウランを製造した。IAEAのグロッシ事務局長は5月、イランの核技術が洗練されたため、核合意当時の6年前の状態に戻すことは「もはや不可能だ」と述べた。

ハメネイ師は1日、ライシ師の後任の司法府代表に反米保守強硬派のイスラム法学者を充てると発表。強硬派の発言力が強まる見通しで、核合意再建の行方は不透明感が強まっている。