受領側不起訴「今後捜査できない」内部で批判も

東京地裁に入る河井克行被告=3月23日、東京都千代田区(代表撮影)
東京地裁に入る河井克行被告=3月23日、東京都千代田区(代表撮影)

公職選挙法違反罪に問われた元法相の前衆院議員、河井克行被告(58)=控訴中=の大規模買収事件で、最後の焦点となっていた地方議員ら100人の刑事処分。東京地検特捜部は6日、一律不起訴としたが、100万円を超える現金を受け取りながらも不起訴となるのは異例で、検察内部や法曹関係者からも疑問視する声が上がった。

「積極的に金銭を求めた者はおらず、自宅に(現金を)保管していた者も相当数いた」。東京地検の山元裕史次席検事は6日、不起訴とした理由をこう説明。買収事件は克行被告が主導し、現職の国会議員であった同被告との関係性からも、受領側はいずれも「受動的な立場」だったと繰り返し強調した。

さらに、山元次席検事は「公平性の観点」も理由に挙げた。克行被告が作成した「買収リスト」に名前が記載されながらも検察側の聴取を拒否するなどして、「受領者」として認定されなかった地元議員らもいる。受領者の一部に刑事処分を下せば、こうした人物だけ処分を逃れることになり、「正直者がばかを見ることになる」(検察幹部)との懸念があった。

ただ、公選法の買収事件は、贈収賄事件と同様に、買収側と被買収側の双方がいて初めて成立する。過去の買収事件では1万円以下の受領でも裏付けられれば、略式起訴されるケースは多い。克行被告の事件では100万円以上受け取った議員らも含まれ、検察庁内でも「今回の不起訴処分が基準になったら、買収事件は今後、捜査できなくなる」と危惧する声が上がっている。

また、克行被告側の起訴から約1年経って、受領側を不起訴処分としたことも評価が分かれている。ある検察幹部は「夫妻を逮捕するだけで大変な捜査だった」とするが、買収事件は通常、買収側と受領側が相前後して刑事処分されるケースが多い。

検察OBは「検察側が受領者から都合の良い証言を引き出すためだったのではないか」と疑念を呈した。また、別の検察OBは「受領者には地方議員も含まれる。処分が不確定な議員のいるまま地方議会を1年間放置したのは検察の怠慢としか言いようがない」と批判した。(荒船清太、吉原実、石原颯)