特別枠で菅カラー演出 膨張圧力避けられず

記者会見する菅首相=6月17日午後、首相官邸
記者会見する菅首相=6月17日午後、首相官邸

令和4年度予算の概算要求基準は成長分野に配分する特別枠を復活させ、脱炭素化やデジタル化など菅義偉政権のカラーを前面に出す。新型コロナウイルス対応のため〝青天井〟で要望できた前年度とは異なり、要求前に一定の歳出削減を求めることで予算規模の拡大を抑制する思惑もある。ただ、歳出の上限は9年連続で明示されず、各省庁や与党からの膨張圧力が強まることは避けられない。

2年ぶりの特別枠設定はコロナ禍の危機管理体制から、平常時への移行を意味する。6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」に明記した4つの重点分野に傾斜配分して、コロナ収束後の経済成長を軌道に乗せたい狙いがある。

特別枠は既存経費の10%削減を求める代わりに削減額の3倍を上乗せ要求できる仕組み。削減分より増加分の方が大きいとはいえ、先に削減努力を求めることで、要求に一定の歯止めをかける効果も期待される。

コロナ対応を含む「緊要な経費」だと主張すれば上限を設けず要求できた3年度予算では、水道の基盤強化(厚生労働省)や文化財の適切な修理(文部科学省)など緊急性に乏しい政策でも金額を明示しない「事項要求」で概算要求に相次いで盛り込まれた。4年度もコロナ関連は同様の要求を認めるが、主戦場が特別枠に移るため便乗するような案件は抑制されそうだ。

とはいえ、平常時に戻れば予算の無秩序な膨張が抑えられるとはかぎらない。

概算要求基準は要求額の水増しを抑えるため、昭和36年度予算編成で上限(シーリング)を設けたのが始まりだ。ただ、直前に策定する骨太に沿った内容になる現在では事実上形骸化しており、各省庁は政権のお墨付きを得ようと骨太の記載をめぐって奔走する。4つの重点分野はいわば〝当確〟案件であり、今年は脱炭素化やデジタル化にかこつけた要求が増えそうだ。

秋の衆院解散・総選挙、令和4年の参院選と本格的な「政治の季節」を迎えており、予算編成は与党からの歳出圧力も避けられない。一般会計総額が9年連続で過去最大を更新した3年度に続き、4年度予算も膨張する可能性が高い。(田辺裕晶)