夢を見せる、女優だけの舞台「ル・シッド」 21日から - 産経ニュース

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夢を見せる、女優だけの舞台「ル・シッド」 21日から

「ひどい運命の中に人を放り込んで、どんなうめき声があがるのか、というのが演劇」と話す、笹部博司さん
「ひどい運命の中に人を放り込んで、どんなうめき声があがるのか、というのが演劇」と話す、笹部博司さん

フランス古典の恋愛活劇「ル・シッド」が21日から、東京都豊島区のあうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)で上演される。中世の英雄、エル・シドを題材とした物語だが、今回の出演者は全員、女優。上演台本・演出を手掛ける笹部博司(73)は「リアリズムは嫌い。本物らしく見せかけた演技ではなく、今の時代のお客さんにも面白いと思ってもらえることがしたい」と話す。

中世の騎士、エル・シドことロドリグの英雄譚の前夜。ロドリグ(十碧れいや=とあ・れいや)は自分の父(小川絵莉)の名誉を守るため、恋人、シメーヌ(舞羽美海=まいはね・みみ)の父(井上希美=のぞみ)を決闘の末、殺してしまった。シメーヌは父のあだを討たねばならないと苦しみ…。

フランスで1637年に初演され大ヒット。夢とロマンを詰め込んだ物語は、演劇鑑賞とは無縁だった下層階級の若い女性たちにも愛され、社会現象となった。今回の上演にあたり「古典の名のもとに、つまらない芝居にはしたくない」として、「夢の世界を見せるなら、キャストは全員女優がいい」と決めた。

演出家としては「73歳の新人」だという。昭和52年に演劇・戯曲を専門とする出版社を、また、出版作品を上演するために平成2年に演劇製作会社を設立し、代表を務める。「身毒丸(しんとくまる)」「百物語」など、話題作を数多く企画した。

ところが、ある時から「他人の演出が気に入らなくなってきた」。演出家の蜷川幸雄からは「クリエーターにはなるな。プロデューサーとして信用されなくなる」と忠告され、自身も「演出家には向いていない」と感じていたが、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館演劇部門芸術監督就任などを経て、演出への熱は高まる一方。60歳を過ぎて本格的に踏み出した。

「自分が演出できるなんて思ってもみなかった。今が幸せ」といい、「虚構の中にしか美しいものはない。『ル・シッド』は運動会みたいに楽しくやりたい」と笑った。(三宅令)

25日まで。問い合わせはアーティストジャパン、03・6820・3500