先の通常国会では、中国・新疆(しんきょう)ウイグル自治区などで行われている中国政府による人権侵害行為を非難する国会決議は表立って反対を唱える政党が現れないまま、採択が見送られた。自民、公明など主要政党の執行部は、互いに決議の採択には消極姿勢であることを理由に党内調整を進めず、議論を先送りしたためだ。この過程で見えてきたのは、中国の人権問題よりも党利党略を重んじる政党の体質だった。
「ちょっと待ってください」
6月14日夕の自民党本部幹事長室。林幹雄幹事長代理は強い口調で、二階俊博幹事長を制止した。二階氏は下村博文政調会長から対中非難決議案の説明を聞き、了承のサインをするため赤い筆記具を手に取ろうとしていたところだった。