主張

自民の「敗北」 為すべきことの徹底図れ

衆院選の前哨戦として注目された東京都議選で自民党は33議席を得て第一党を奪還した。ただし、分水嶺(ぶんすいれい)とされた自民と公明党を合わせて過半数に達する目標は大きく下回った。公明は候補者全員が当選を果たしたのだから、実質的には自民の「敗北」である。

菅義偉首相は都議選の結果について「自公で過半数を実現できなかったことは謙虚に受け止めたい」と述べた。秋までに行われる衆院選に向け、都民の不満や批判を国民全体の声と受け止めて大いに反省すべきだろう。

直接の敗因は、政府の新型コロナウイルスへの対応と、開幕が間近に迫った東京五輪開催への忌避感だった。菅首相が「切り札」とするワクチンは承認手続きが国際社会に後れをとり、号令一下、ようやく進んできた接種も配送の不備や供給不足で滞っている。

都内で2回の接種を終えたのは3日現在で全世代の約8%にすぎない。緊急事態宣言や蔓延(まんえん)防止等重点措置は延期や再発令を繰り返し、支援金支給の遅れや、酒を飲めたり飲めなかったりの連続に、多くの人が嫌気がさしている。

新型コロナ対応への不満は、五輪批判に直結した。議席を伸ばした共産党は「五輪中止」を、立憲民主党は「中止か延期」を主張した。予想に反して善戦した都民ファーストは公約に「無観客による開催」を盛り込んでいた。特別顧問を務める小池百合子都知事が有観客による開催を目指しているにもかかわらず、だ。

自公両党は公約で五輪開催の是非には触れず、選挙戦では感染対策を徹底した上で開催すべきだと主張してきた。

この分かりにくさが、五輪への嫌悪感を助長したと反省すべきである。政府・与党が五輪の魅力を十分に発信することができていれば、結果は違ったはずだ。

新疆ウイグル自治区や香港などでの深刻な人権侵害問題を抱える中国共産党の創建100年に自民は二階俊博幹事長名で祝賀のメッセージを送った。

こうした姿勢に保守層が反発を強めたことも、過去2番目に低い42・39%という投票率に表れたのではないか。

政府・与党が出直すために為(な)すべきことは何か。ワクチン接種を進め、五輪・パラリンピックを成功させ、自身の立ち位置を再確認し、徹底することである。

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