数字から見えるちば

水素活用出遅れも、潜在性は大きく

菅義偉内閣発足以降、国内における「脱炭素」に向けた動きが加速しており、6月には脱炭素社会の実現に向けたロードマップが公表された。そうした中で、環境負荷の少ない〝究極のクリーンエネルギー源〟として「水素」が大きく注目されている。水素は、酸素と結合する際に電気エネルギーや熱エネルギーを出し、二酸化炭素を排出しないのが大きな特長だ。また、さまざまな資源から取り出すことができるため、石油資源の乏しいわが国で自給可能なエネルギー源でもある。

水素エネルギー利用の初期の段階で、代表的な用途として期待されているのが、燃料電池車(FCV)だ。ただ、国産車でも700万円台と高価なため、国が1台当たり最大225万円規模の補助金を用意しているほか、県外の自治体では、独自に補助金制度を設けて普及を促している。県内では唯一、松戸市が5万円の補助金を用意するにとどまる。

購入にかかる国の補助金交付累計台数を県別にみると、千葉県は全国10位の54台で、東京都(954台)はもとより、神奈川県(244台)や埼玉県(200台)にも大きく水をあけられている。また、FCVに水素を充塡(じゅうてん)するための「水素ステーション」の設置数は5カ所と、1都3県の中では最も少なく、水素エネルギーの活用面では近隣県に出遅れていると言わざるを得ない。

しかしながら、産業構造の特徴に着目すると水素エネルギー供給の点では大きなポテンシャルがあるのも事実だ。京葉臨海コンビナートには石油化学、鉄鋼などの素材型産業が集積しており、製造の過程で多くの副生水素が発生している。

県では、コンビナートで発生する水素の活用を含めた県内産業の振興策を検討するべく、「千葉県水素エネルギー関連産業振興プラットフォーム」を立ち上げ、行政やコンビナート内企業、学術機関などが一体となって議論や研究を進めている。現在はコンビナート内で利用されている副生水素を外部に供給するとなると、ある程度の需要が見込めて供給側の採算性が確保されることが前提となるため、水素普及にあたっては供給体制の整備と同時に需要サイドの盛り上がりが必要となる。

産学官のみならず住民らも含めて水素についての理解を深め、オール千葉で盛り上がりの機運を醸成することで、千葉が「水素先進県」としての地位を築いていくことを期待したい。(ちばぎん総研主任研究員 久山直登)

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