職場接種2週間 突然の申請停止など広がる混乱

日本商工会議所によると、5日午前の時点で全国100以上の商議所が約60万人分の職場接種を申請したという。日商は「先行実施されている大企業などの接種でワクチンが不足している」などとし、政府に早期の承認と確実なワクチン供給を求めた。

だが、すでに始めている大企業でも供給不安がつきまとう。ある大手メーカーでは従業員ら数万人規模で進めるが「供給量は日々、綱渡りの状態」。予定する接種分の確保で厚労省との交渉に追われている。担当者は「始まった途端に供給不足。千人以上でなければワクチンを供給できないといわれ、できる限り人数を集めたのに。はしごを外された思いだ」と嘆く。

職場接種をあきらめた企業などは自治体の接種に切り替えるが、その自治体接種でも予約停止が広がっている。接種をめぐる混乱はまだまだ続きそうだ。

ワクハラ回避へ「情報管理を」

職場接種を進める企業が増えるなか、接種に関する従業員の個人情報管理も重要になっている。個人の接種の有無が職場内で共有されると、接種しない人が差別されたり、接種するよう同調圧力をかけたりする「ワクチンハラスメント」につながる可能性がある。

個人情報保護法に詳しい佐藤みのり弁護士によると、従業員の接種に関する情報は、公開されることで不当な差別や偏見につながりかねないと同法で定める「要配慮個人情報」に当たる可能性が高いという。

職場接種だけでなく、自治体による接種を受けたかどうかの個人情報も配慮が必要だ。企業側は職場の安全を守るという趣旨で従業員から情報を取得することは可能だが、本人の同意が必要となる。

佐藤氏は「企業はワクチン接種に関する情報を不特定多数の人が触れられないよう、担当部署など必要最低限の範囲で厳正に管理しなければならない」と指摘している。(山本考志)

職場接種 企業が従業員らを対象に新型コロナウイルスワクチンを接種すること。高齢者を先行させている自治体の接種を補完し、一気に加速させる狙いがある。対象に従業員の家族や地域住民らも含めることができる。希望する企業は政府の専用サイトから申請。接種に当たる医師や会場は企業が自ら確保する必要がある。同じ会場で最低千人程度に2回接種するのが基本。申請数が米モデルナ製ワクチンの輸入ペースを上回り、政府は受け付けを一時停止した。