地域、ワクチン効果じわり 日銀地域経済報告

東京都中央区の日本銀行本店(川口良介撮影)
東京都中央区の日本銀行本店(川口良介撮影)

日本銀行が5日発表した7月の地域経済報告(さくらリポート)では、世界的に需給が逼迫(ひっぱく)している半導体など外需の恩恵を享受できるかで、景気回復に地域ごとの濃淡が現れた。内需は依然低迷しているが、新型コロナウイルスのワクチン接種が想定以上に加速したことで個人消費の持ち直しを当て込んだ設備投資などの動きもあり、本格回復に向けた兆しもみられた。

日銀の高口博英・大阪支店長は5日の記者会見で、近畿地域の判断を引き上げた理由について「輸出、生産がしっかりと改善し、これに引っ張られて設備投資が上振れた」と説明した。

緊急事態宣言解除後も続く蔓延(まんえん)防止等重点措置の影響でサービス消費には強い下押し圧力が続くが、「旺盛な半導体関連需要に応えるべく、過去最高水準の能力増強投資を進めている」(近畿の電子部品・デバイス)など外需が内需のマイナスをカバーしている。

日本海側屈指の工業圏である北陸地域でも、半導体受注で「フル稼働でも生産が追い付かない状態」(生産用機械)とうれしい悲鳴が上がっており、製造業の活況が判断を押し上げた。

その半面、判断を引き下げた中国、四国地域は消費の減退を企業の生産や設備投資で補えなかった。なかでも自動車関連が景況感を牽引(けんいん)してきた中国は、半導体不足を背景にした自動車の減産が響き、下請け企業でも生産調整を迫られた。

一方、先行きを占うのはワクチン接種の進展による消費の回復だ。近畿地域では、百貨店などで一足先にワクチン接種を済ませた高齢層などの客足が既に戻りつつあり、ブランド品や時計など高額品を中心に堅調な売れ行きをみせている。

今回は判断を引き下げた四国地域でも、今後は消費回復が見込めるとして「宿泊客が少ない今のうちに客室のリフォームや老朽化した設備の改修に踏み切る」(宿泊)と前向きな動きが出始めた。

ただ、感染力が強い変異株「デルタ株」が拡大する中、ここにきてワクチン供給不足に対する懸念も指摘され、消費の本格回復が実現するかどうかは予断を許さない。(高久清史)