東芝問題で、物言う株主が選任した弁護士らによる調査報告で激震が走っている。詳細な分析ではあるが、正義のヒーロー・物言う株主から見た「一方的な推論」による劇的ストーリーだ。これを鵜吞(うの)みにした報道も目につく。
例えば「東芝と経済産業省が一体となって株主提案権の行使を妨げた」と断じている。しかし主語を正確に論じるべきだ。東芝経営陣の一部の思惑は、あくまで企業統治の問題だ。他方で経産省もそうした意図で安全保障行政を歪(ゆが)めたかの記述は一方的な推論だ。
安全保障上の懸念がなければ、国は介入することはない。あくまで東芝が有する重要産業の生産基盤の切り売りや技術流出がないよう守るのが目的だ。東芝の経営体制を守るものではない。