主張

感染再拡大 ワクチンの戦略的配分を

国から自治体への新型コロナウイルスワクチンの供給が滞っている。千葉市や神戸市などでは新規予約を一時停止する事態になっている。

ワクチンが不足しているなら、政府は感染リスクが高く、接種体制が整っている地域に優先供給する「戦略的配分」も検討すべきだ。

大阪府の吉村洋文知事は2日、河野太郎ワクチン担当相と面会し、「リスクの高いエリアに早く供給していくことが国家的に必要だ」と訴えた。首都圏の1都3県の知事も感染リスクの高い地域への重点配分を国に要望した。

国はこうした意見に耳を傾け、感染阻止のあらゆる手段を講じなければいけない。

河野ワクチン担当相は「ワクチンは不足しているわけではない」としてきたが、接種の加速化に供給が追い付いていない。職場接種の再開も見込めない。

すでに配分したワクチンが一部の自治体や医療機関で、接種予定がなく「在庫」になっている可能性もある。都市部では新型コロナウイルス感染症の再拡大が強く懸念されており、未使用分を蓄えておく余裕はないはずだ。国は精査の結果を示してもらいたい。

東京都では3日、新規感染者数が716人に上った。感染拡大の傾向は顕著で、7月中には1千人を超えるとの試算もある。

政府は1都3県で7月11日まで適用されている蔓延(まんえん)防止等重点措置を1カ月程度、延長する方向で調整を行っている。

しかし、延長だけでは不十分だ。緊急事態宣言が重点措置へ移行して感染者数が増えたのだ。これまでにない対策を取らなければ改善は見込めまい。

感染拡大の背景に感染力の強いインド由来の変異株「デルタ株」の存在がある。関東地方では流行の30%前後を占めるとされる。7月半ばには50%を超え、従来株から置き換わる可能性がある。

大阪府では4月、従来株が英国由来の変異株に置き換わる過程で急激な感染拡大に襲われた。同じことが首都圏でも起こりうる。

良いニュースもある。1回でもワクチンを接種した高齢者は6割を超えた。新規感染者に占める65歳以上の高齢者の割合は着実に減ってきている。ワクチンはデルタ株にも有効だ。

都市部で流行を抑えられれば周辺地域への伝播(でんぱ)も防げる。

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