コロナ禍で企業の自動化が加速、人間の雇用にも影響し始めている(2/2ページ) - 産経ニュース

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コロナ禍で企業の自動化が加速、人間の雇用にも影響し始めている

テクノロジーへの投資が加速

MITで電子化と労働市場におけるその影響を研究する経済学者のデイヴィッド・オーターは、いずれ起きることがほぼ確実視されていた変化がコロナ禍で加速したと考えている。その変化は、もはや「未来」のものとは思われていないのだとオーターは指摘する。

なかでもロボットが注目されているが、食品加工工場や厨房、レストランで働く労働者に取って代われるほどの賢さはまだ身につけていない。それでもマクドナルドなどの大手ファストフードチェーンは、注文用の端末や新しい機械といったツールにパンデミック前から資金を投じ、調理作業の自動化を進めようと取り組んできた。

全米レストラン協会(NRA)シニアバイスプレジデントのハドソン・リールは、新型コロナウイルスは間違いなくこうした動きを加速させたと語る。また多くのレストランが、テクノロジーを活用して従業員の配置を再編成しているという。それは長期的な視点に立った自動化推進の一環だ。

「パンデミックになって、テクノロジーへの投資に注力する企業が増えています」と、リールは指摘する。その目的とは特定の作業を自動化することにあり、「筆頭が注文と決済」なのだという。

従業員の代替には不十分?

飲食業界ではパンデミックをきっかけに、ビジネスがデリバリーとバーチャルキッチンへと大々的に移行した。それを機に、以前は見慣れぬものに思えたテクノロジーを使ってみようと考えるレストランや客が増えるかもしれない。レストランのテーブルでアプリを使って注文できるなら、いずれはウェイターやウェイトレスがさほど必要ではなくなる可能性もある。

小売やホテルなどほかの業界でも、パンデミックによってすべてが覆った。とはいえ、経済全体でAIがどれだけ活用されているのか把握することは難しい。なぜなら、テクノロジーがそのまま従業員の代わりを果たせるケースはほとんどなく、異なる業界の異なる職種によって、自動化の手段はまちまちになりがちだからだ。

こうしたなかボストン大学教授のサム・ランスボサムは、パンデミック中に企業におけるAIの導入について調査を実施した。報告書は年内に発表される予定だが、パンデミックを受けてテクノロジーの導入が広く進んだことが研究で明らかになったという。一般的にはテクノロジーで大量の従業員を置き換えるというより、特定の作業を自動化するケースが多かったようだ。

ランスボサムによると、ホームセンター大手のホーム・デポはパンデミック中に自社アプリ用の高性能検索ツールを開発し、自宅リフォームなどについて顧客にアドバイスを提供できるようにした。店舗に足を運べない人が多かったことで、同社は対面サービスの体験を再現しようと努めたわけだ(ホーム・デポにコメントを求めたが回答は得られなかった)。

AIと自動化が雇用に及ぼす影響は決して単純ではないと、ランスボサムは指摘する。テクノロジーは人間の従業員の代替としては不十分だと考える向きも企業によってはあり、すみやかに従業員を再雇用したいと考えるだろうとランスボサムは言う。

自動化の影響を最も受けている層が見えてきた

自動化の普及は、誰にでも等しく影響を及ぼすわけではない。カナダのノバスコシア州にあるダルハウジー大学の経済学者ケーシー・ウォーマンと、バンク・オブ・カナダ上級エコノミストのアレックス・チャーノフは2020年6月に発表した研究論文で、米労働省が公開している職業情報データベース「O*Net」の職務データに着目した。新型コロナウイルスによるリスクが高く、かつ自動化の対象となりそうな職務を考察したところ、そうした職務に最も多く就労しているのは教育水準があまり高くない女性であることが明らかになったのだ。

パンデミックが雇用にいかなる影響を及ぼしているのかは依然として不明だが、2020年に失業で過度に大きなダメージを被ったのは依然として女性だったことが最近の職業データからわかったと、ウォーマンは語る。その一因は自動化かもしれないとウォーマンは指摘するが、次のように語る。

「それでもパンデミック中に自動化が進んだことが原因で失業する確率が男性より女性のほうが高いという点は、わたしたちの研究結果と一致しています」