米国務省報道官、中国共産党創建100年に「コメントしない」

プライス報道官(ロイター)
プライス報道官(ロイター)

【ワシントン=黒瀬悦成】米国務省のプライス報道官は1日、中国の習近平国家主席が中国共産党創建100年の祝賀大会での演説で「中国人民は外来勢力のいじめや抑圧を絶対に許さない」などと述べたことに関し「発言は認識し、留意している」としつつ、「具体的なコメントはしない」と語るにとどめた。

プライス氏は「バイデン政権は、中国共産党に対する印象についても過去数カ月間に明確に打ち出している」と述べ、創建100年に合わせてメッセージを出したり論評したりはしないとの立場を示した。

習氏は演説で、中国への圧迫を図る国々は「14億超の人民が血肉で築いた鋼鉄の長城の前で頭を割られ血を流す」とも語り、中国の軍事力を増強させる決意を表明していた。

プライス氏はまた、中国が北西部の砂漠地帯に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の地下式格納施設(サイロ)を100基以上も建設していることが米研究機関の調査で判明したことについて、「懸念すべき動きだ」と指摘した。

プライス氏は「中国の核戦力が以前に想定していたよりも急速に増強されていることを示すものだ」とも述べ、「中国の意図に疑問を呈する」とした。

さらに、中国による核戦力の増強は「核をめぐるリスク低減に向けた実質的な取り組みの重要性を改めて補強するものだ」と指摘。中国が「最小限の核抑止力」を基本とした数十年来の核戦略から逸脱しようとしているとも警告した。

プライス氏はその上で中国に対し、情勢を不安定化させるような軍拡競争の恐れを減らし、緊張緩和を図るため、米国との関与を進めるよう促した。

同氏は、米国が中国との関与を目指すのは、バイデン大統領がロシアのプーチン大統領との会談で「戦略的安定性」の確保を呼びかけたのと同じ理屈であるとも指摘し、バイデン政権が中露と戦略的競争を展開しつつ、軍備管理の分野では連携を目指す立場であることを示唆した。

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