主張

登下校の安全 児童守る対策の徹底図れ

千葉県八街市で大型トラックが下校中の市立朝陽小学校の児童の列に突っ込み、6歳から8歳までの小学生5人が死傷した。自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いで送検された容疑者の呼気からは、基準値を超えるアルコールが検出された。この許し難い事故を、防ぐことはできなかったのか。

菅義偉首相は1日、事故現場を視察し、犠牲となった児童らに黙禱(もくとう)をささげた。

その上で「未来のある子供たちの命を失い、負傷されていることはあまりにも悲しく痛ましい」と述べ、交通安全対策の関係閣僚会議で「登校時(の安全対策)について、もう一度総点検をすることを指示した」と説明した。

事故現場の市道は通学路として使われる一方、トラックや近隣の大型商業施設に向かう乗用車の抜け道となっており、スピードを出す車も多かったという。平成20年から23年にかけて、朝陽小のPTAから市に、ガードレール設置などの要望が出ていた。

八街市の北村新司市長は「措置が遅れた」と陳謝し、「市全体の中で考えながら順次、通学路の整備を行っている」と述べた。

確かにガードレールの設置や道路の拡幅には地元住民の同意を必要とし、時間も予算もかかる。一朝一夕にはできない。だが、危険性を認識していたなら、登下校時間帯の進入禁止や、最高速度を時速30キロに制限するなど、まずできることをやるべきだった。

全国に同様の危険性をはらむ通学路は無数にある。首相が総点検を指示した以上、政府には予算上の支援を含め、通学路の安全の確保を徹底する責任がある。

飲酒運転による重大事故に対しては厳罰化が進められてきた。

平成18年に612件だった飲酒運転による死亡事故が令和2年には159件に減った。

これは厳罰化の成果と認められる一方、近年では下げ止まりの傾向もみられる。

平成13年に新設された危険運転致死傷罪の最高刑は、17年に懲役15年から20年に引き上げられた。他の罪との刑罰のバランス上、厳罰化は限界に近づいている。

それでも不届きな運転者が後を絶たない以上は、呼気からアルコールが検知されればエンジンがかからないような仕組みの導入も検討しなくてはなるまい。

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