この1カ月余り。中国と対峙(たいじ)する自由世界は、冷戦史を逆走するようなダイナミズムを意識していたかのようだ。
日本が台湾にワクチン124万回分を提供したことに始まり、米国と日本からの追加提供へと続く。中国との対決に備えるバイデン米大統領の欧州訪問もまた、西側同盟の再結集に向けた動きである。
米中新冷戦の最前線にある台湾は、米ソ冷戦下で苦闘したベルリンと同じ運命にあるのかもしれない。英アストラゼネカ製のワクチンを積んだ日本航空機が6月4日、第1便として台湾の桃園国際空港に無事に到着したとの報(しら)せにそう確信した。了見の狭い中国共産党の邪魔立てを何とかすり抜けていた。