【スポーツが未来を変える】びわこ成蹊スポーツ大学 石井田茂夫陸上部監督 東京パラで目指す「芸術的な放物線」

びわこ成蹊スポーツ大学の石井田茂夫部長と東京パラで頂点を目指す山崎晃裕選手
びわこ成蹊スポーツ大学の石井田茂夫部長と東京パラで頂点を目指す山崎晃裕選手

東京パラリンピックは5日に開幕50日前を迎える。びわこ成蹊スポーツ大学陸上競技部の石井田茂夫監督(総合コーチ)は、日本パラ陸連の強化アドバイザーとして指導するF46クラスやり投げ日本記録保持者の山崎晃裕選手(順天堂大学職員)とともに世界の頂点を目指している。

--パラ陸上に関わるようになったきっかけは

石井田「日本パラ陸連から東京パラの舞台に立てる投擲(とうてき)種目の有望選手を強化育成したいという話がありました。やり投げに候補選手がいる。専門的な形でサポートしてもらえないかという依頼でした。大学にも理解してもらい、引き受けました」

--山崎選手はなぜやり投げを

山崎「高校まで健常者と同じ野球をしていました。その後、障害者野球で2014年に世界大会に出場しました。しかし、パラリンピックに野球はありません。多くの人に自分の挑戦を見てもらえる舞台をと、東京パラ選手の発掘トライアウトを受けたのがきっかけです」

--石井田コーチとの最初の出会いは

山崎「陸上競技に転向して1年後の17年5月。NTCで行われた強化育成合宿です。転向後最初は順調でしたが、すぐに壁にぶち当たり悩んでいたころです。そこで学んだことが衝撃的で、6月にはびわこ成蹊スポーツ大学の先生のもとへ押しかけていました」

--フォームづくりで大切なのは

石井田「野球少年がやり投げに転向した場合、ただ走って思い切り投げるだけ、というのがありがちなスタート。その後、肘などの故障で伸び悩む選手も多い。出会いの合宿から、投擲フォームの指導だけではなく、3年計画でジャンプ系と器械体操系のトレーニングを取り入れ、足腰と体幹の土台づくりをしました。3年間で立ち五段跳びが10メートル50センチから3メートル伸び、ブリッジ姿勢から倒立ができるようになりました」

--どういう効果が

石井田「下半身のパワーが投擲に生きるようになりました。手指欠損で左利きの山崎選手は、投擲時に体が開きやすくいわゆる手投げの傾向であったのが、全身を使って投げているフォームに変わってきました」

--山崎選手の感想は

山崎「最初はジャンプができなくて情けなかった。しかし、跳躍やブリッジが強くなってくると、より一層左右のバランスの悪さが自分で分かるようになりました。投げるときには、右肩が上がって角度がつき過ぎていたことなど、自分を客観視できるようになりました。今では、右肩を上げる前に落とす意識付けをし、そのくらいが自分の中で両肩を平行に保てると分かります。障害があるからこその動きの特性を理解した上で、フォームをつくるのが健常者との違いだと感じています」