東京都の小池百合子知事が2日、都庁で公務復帰後初めての記者会見に臨んだ。詳細は以下の通り。
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小池氏「定例の記者会見は毎週金曜日2時からでございますが、時間をずらしても最新の状況などを私から直接応対をしたいということでこの時間になりました。明日、明後日もまた土曜日曜で、人の出も多くなるのではないかとも想像できます。この場で皆様方にお伝えしたいと思いまして、このような形をとらせてもらいました」
「コロナ対策の真っただ中、2020東京大会が間近に迫っているという中においてですね、私が体調を崩して、多くの大切な期間に体調不良ということで、多くの方々にご心配ご迷惑をおかけしたことを心からおわび申し上げます。東京都にとって、今ほど重要な時期はないと考えております。そのなかで引き続き、副知事をはじめとする都庁の職員と、山積する課題に全力で取り組んでいく。どこかでばたっと倒れているかもしれませんが、進んでいくところであります」
「高齢者の感染の割合はかなり減少しているのが如実に分かりますがその結果、入院患者数、重症患者数が抑えられているということだと思います。より深い分析は必要だと思いますが、これまでの経緯で、そういうことがいえるのではないかと。最近は人流という言葉が着目されております。お店は8時で閉まっていますが、人の流れが多く、路上飲みもまだまだ多いと報道されていると思います。変異株が主体でしたが、より感染力の強いといわれるデルタ株、インド株の割合が増加していることから、十分な警戒が必要です」
「(6月)29日に危機管理対策会議で5つの重点対策をまとめているので伝えます。高齢者のワクチン接種で好影響があります。若者、中高年層に感染を増やさないということにつながります。2番目に、飲食店、皆さまにご苦労いただいている感染防止対策の強化。東京はおびたただしい飲食店があります。98%の店にご協力いただいて、そうでない2%に逆に人が集まっているという報道があり、そこにまた集まるという流れがあります。そこは国とも連携して、強化しなければいけません。3番目には職場への取り組みの強化です。職場で感染が増えているという傾向があります。ワクチンの接種が猛烈な勢いで進んでいるのは先ほども申しあげたことですが、夜間の人流の抑制、感染対策の徹底を図りながら、ワクチンの接種を全力で進めています」
「ワクチン接種ですが、最新の状況では、医療従事者はほぼ100%終えています。6月21日から職域の接種を開始されたところでも大規模接種会場の設置を進めておりますが、築地の接種が明日で一区切りです。そこで1回目の接種を終わった方が、週明けの6日から代々木が会場になりまして、そこで2回目の接種が始まります。都庁の北と南の展望室で、それに加えて、開設予定の立川の地域防災センターと、多摩総合医療センター。そこで、多摩の地域がカバーできます。大学との連携でもワクチン接種の加速化をはかっていきたいと思います」
「オリンピックがらみの話になりますが、改めて人流については東京都では2020大会の人流、物流をどのようにして、スムーズに動かすかを考えています。オリンピックのような大規模なスポーツ大会を開くにあたって、さまざまな人流、物流、交通量の抑制をこなすなど、コロナがあろうがなかろうが、これは一様に行っているものであります。安全でスムーズな大会を開催するため、テレワークの徹底、市内への車の流入を抑制するなど、パッケージで進めていきます」
「こちらはロンドン市内のあちこちで張られたユニークなポスターです。期間中の混雑の防止のため、国民・市民に周知して、行動変容や時差通勤、テレワークを呼びかけたポスターです。いろんな国の方々が都庁をご訪問いただきますが、今のイギリスの首相でいらっしゃるボリス・ジョンソンさんが、ロンドン大会の市長だったときのエピソードとして、これをご紹介くださいました。テレワーク、休暇などを行ったのは80%、行動を変容させた住民は77%、集荷を変更した企業は72%。これが私たちのレガシーだと、ボリスジョンソンさんははおっしゃっております」
「そのあと、2016年リオ大会がありました。ファストレーンにしたり、色んな工夫をしています。大会を開催している都市はこういう工夫をするものです。高速料金を変えてみたり。トラックが渋滞を起こす可能性があるので、時間帯を伸ばすことで緩和するなど、これは何年もかけて準備をしているものです。もっといえば、船主さんには輸入するときにはそのことも考えながら、どこから輸入するか、日数も変わります。それらも計算に入れて、商社の皆さん、ご協力くださいというのもやっていました。公共工事、普通の工事なども他のところに回してくださいというのも、改めてお伝えしたいです」
「部分部分は伝わっていますが、全体像が伝わっていないために、あれが大丈夫か、ここは大丈夫かという情報が十分に行き渡っていないのではないかが懸念されます。企業向けに、個人向けに色んなお願いをしてきていますが、こうした取り組みによって、大会が開催されます。物量にしても交通量にしても、減るというそういう設計になっています」
「じゃあ人流はどうなのかというところですが、海外から大会に来られる方が14万人と見込まれていたのをぐーっと減らして、海外から大会を見に来る方々、それからオリンピックの関係者も減らしました。14万人が来るのを4万人に、3分の1にすでに減らしています。4万人もいるではないかといいますが、東京は毎日300万人が出たり入ったりしているのが日常ですから、数字の規模感が十分伝わってないのではないかとも思うわけであります。全体像の取り組みも工夫していただければと思います」
「人流抑制策を徹底したい。開催は間近に迫っており、連日、世界中から選手の皆さんが日本入りしています。また、大会はオリンピックだけではありません。パラリンピック大会が控えています。安全度がより求められるのはパラリンピックです。都民の皆さん、都民の命を、子供の未来をつくっていくことを全力で取り組んでいきたい。たとえ倒れても、取り組んでいきたいと思っています。沢山の課題を抱えていますが、しっかりと歩みを進め、東京大会のレガシーを残せるよう、これからも取り組んでいきたいと思っています」
「ジャイアントパンダのシンシンが双子の赤ちゃんを出産したということで、この後、名前の募集をしたいと思います。その時はまた改めてお伝えをしたいと思います」
《各社質問》
--観客について菅首相は無観客もあり得ると発言していますが、知事は開催都市のトップとして、無観客で大会を開催するべきでしょうか。
「先日、5者会議を開きました。6月21日のことだったと思います。そこで、冒頭発言で緊急事態宣言が発出された場合には、感染状況や医療状況を5社で協議しますとしました。無観客も含め、検討する必要があります。これからも感染状況を注視しながら、無観客も考えていく必要があると思います」
--都議選について現時点の受け止めを教えてください
「オリンピック・パラリンピックでどういう東京にしていくのか、課題は山積しています。都政の改革もしていかないと、世界のスピードに追い付けない。IT化も進めていきます。さまざまな課題がございますが、改革を続けていくとともに、江戸の伝統とともに、共鳴しあって東京を認めていただく、というのが極めて重要だと思っています。都民ファーストの会は、特別顧問を務めているので、当然のこととして頑張ってもらいたいと思っています。選挙戦は直接街頭演説もコロナのなかで、非常にやりにくい選挙でございますが、エールを送っていきます」
--ステージ4ということで、緊急事態宣言を必要ならやると国は言っています。宣言の再発令を要請することがありますか
「いくつかの項目がございます。最近のデルタ株はまだまだ不明な点が多い。ワクチンの接種が感染者の世代の変化を起こしていますが、医療提供体制を確保しなければいけません。
自宅療養、宿泊療養、病院と、うまくトライアングルのように回せるようになってきました。酸素吸入などもできるように、さまざまな医療提供体制がかなり充実してきていると思います。医療従事者の皆さんに大変ご負担をかけているので、連携を図りながら進めていきます。東京都として、しっかりと分析していきたいと考えています」
--入院の経緯、体調などを説明していただけないでしょうか。ご懸念もあれば合わせてお願いいたします
「いろいろご心配かけて恐縮でした。コロナの検査は陰性でございました。今回は過度の疲労ということで、様々な課題を抱えている中で、毎日迫りくる新しい事象に体力が十分でなかったということで、体調だけはあるときは思うようにいかないときもございまして。最後、これ以上続けるのは難しいという判断もあり、医師の判断もいただいて、入院ということで、何日か過ごさせていただきました。医師の判断を仰ぎながら、様々な課題がございますので、責任をもってやっていこうと、気力と判断力とを研ぎ澄ましながら、これからもやっていこうと思っています」
--飲食店の酒類の提供について、再びステージ4相当に入れば、直ちに全面停止をお願いすることになるのでしょうか
「全体を見ながら進めていきたいと考えています。2人まで、90分間という皆さんには、利用者の方にも、お店の方にもご協力いただいているところですが、感染状況を見ながら判断をしてほしいと思います。1つの課題として、飲酒はあろうことかと思います」