京都・祇園祭、静かな幕開け 山鉾建てを縮小実施

7月中、さまざまな行事が行われる京都・祇園祭の幕開けとなる「お千度の儀」が1日、京都市東山区の八坂神社であった。新型コロナウイルスの感染拡大のため、昨年同様に鉾保存会の役員3人のみが参列。本来は祇園祭前半の「前祭(さきまつり)」の山鉾巡行で先頭の長刀鉾に乗る「稚児」と補佐役の「禿(かむろ)」を務める子供が参列するが、巡行中止に伴い選出しなかった。

また各山鉾町でも同日、祭りの無事を祈願する神事「吉符入(きっぷいり)」が営まれた。


技術継承のために 「観覧は控えて」

1カ月間にわたって執り行われる八坂神社の疫病退散の祭礼「祇園祭」。昨年同様にコロナ禍で神事は多くが縮小・中止となり、山鉾(やまほこ)巡行も中止が決まっている。ただ、山鉾を組み立てる「山鉾建て」は2年ぶりに全34基中17基で実施されるが、運営側はあくまで保存・技術継承のためとの姿勢で一般の観覧は控えるよう呼びかける。例年通りとまではいかないものの、昨年とは異なる様相となりそうだ。

「昨年は全く何もできなかったので、制限はあっても鉾建てや囃子(はやし)、対面での厄よけちまきの授与ができるだけでも大きな前進だ」。綾傘鉾保存会の寺田進理事長(72)はそう語る。

鉾の木材や装飾品は約2年倉庫に保管されたまま。年1回は風通しをしないと、カビが生えたり虫に食われたりする恐れがある。「鉾は生き物のようなもの。ずっと放っておくのは心配だった」

八坂神社と巡行を運営する祇園祭山鉾連合会は6月、感染症対策が可能な地区で山鉾建てを実施すると発表。山鉾が多く建つ新町通や室町通を中心に車両通行止めなどの交通規制もされる。

祭り期間中の夕方以降に各山鉾町で、笛や鉦(かね)の音が聞こえるお囃子の練習「二階囃子」も午後9時までの制限付きで復活。宵山期間中(14~16日)には、駒形提灯(ちょうちん)にあかりを入れて対面でのちまき授与も認められるが、見物人の密集を防ぐため、午後7時に消灯して終了するとした。

巡行当日の17日は、各保存会の代表が榊を手に四条通を歩く。

一方、3基の神輿(みこし)が八坂神社の氏子区域を練り歩く「神輿渡御(とぎょ)」については昨年に引き続き実施せず、神輿の代わりに榊を白馬の背に立て隊列で巡行する「御神霊(ごしんれい)渡御祭」を執り行う。鴨川で勇壮に営まれる神輿洗といった他の多くの行事も縮小・中止する。八坂神社の森壽雄(ひさを)宮司は「祭りは規模の大きさではない。いまできる最良の形で祭りの目的である疫病退散を祈りたい」と理解を求めた。

それでも、関係者らは見物客が集まることによるコロナ感染拡大を懸念する。山鉾連合会の木村幾次郎理事長は「見てもらうためではなく、技術継承のための山鉾建てであることを十分理解いただきたい」と観覧を控えるよう呼びかける。綾傘鉾保存会の寺田理事長は「多くの感染者を出すような事態になれば批判は免れない」と語り、手洗いや密集を避けるなど感染症対策を徹底するとしている。(秋山紀浩)