幻の五輪に尽力した弁護士・岸清一、100年前の裁判記録発見(1/2ページ) - 産経ニュース

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幻の五輪に尽力した弁護士・岸清一、100年前の裁判記録発見

「岸清一法律事務所訴訟記録」を発見した笹岡文雄さん(右)と研究グループの福永清貴教授=東京都世田谷区の国士舘大図書館
「岸清一法律事務所訴訟記録」を発見した笹岡文雄さん(右)と研究グループの福永清貴教授=東京都世田谷区の国士舘大図書館

戦争のため幻となった1940(昭和15)年の東京五輪招致に尽力し、「日本近代スポーツの父」と呼ばれる弁護士、岸清一(せいいち)が手がけた約100年前の大量の裁判記録が、国士舘大(東京)の図書館で見つかった。明治、大正、昭和初期の裁判の記録は、判決の原本などごく一部を除き現存しておらず、わが国の近代訴訟手続きの解明にとって重要な一次資料として、同大を中心とした研究グループが調査・研究を始めた。

岸は島根県出身。帝大でボート選手として活躍し、弁護士業の傍らスポーツ界の発展にも力を尽くした。嘉納治五郎が創設した大日本体育協会(現日本スポーツ協会)の第2代会長や国際オリンピック委員会(IOC)委員を歴任。嘉納らとともに戦前の五輪招致に尽力した。岸の名は、日本スポーツ界の総本山だった「岸記念体育会館」に長くとどまり、令和元年の「ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア」完成後も、玄関前に胸像が残る。

今回見つかったのは、岸が東京・京橋で自身の法律事務所を開いた翌年の明治23(1890)年から、66歳で死去する昭和8(1933)年まで44年間の民事、刑事、行政、特許、商標などの一連の裁判記録。資料保存箱39箱分、約780点に上る。ごく一部は戦前に「岸清一訴訟記録集」として刊行されたが、大部分は未公刊。大正12年の関東大震災も耐火設備の中で生き延びたといわれる。

国士舘大の初代法学部長が「記録集」の刊行に関わっていた縁などから同大が所蔵していたとみられ、戦後長く大学図書館の木箱に眠っていたのを、図書館課の笹岡文雄主任(60)が平成30年末に発見、今年度から研究が始まった。

裁判記録からは、当時の世相が鮮やかに浮かび上がる。