【パリ=三井美奈】イタリア南部マテーラで開かれた20カ国・地域(G20)外相・開発相会合は29日、新型コロナウイルス禍からの復興で国際的取り組みを目指す「マテーラ宣言」を採択などし閉幕した。宣言は、新型コロナで世界的に食糧不足が深刻化したことを受け、食糧安全保障でも投資拡大などをうたった。
開発相会合は別の共同声明をまとめ、途上国の開発をめぐり「透明性」のある「持続可能な資金調達」の重要性を確認した。日米欧には、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて投資先国に過剰な債務を負わせていることへの懸念がある。
マテーラ宣言は、国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち、2030年までの饑餓撲滅を達成できる「方向には進んでいない」とし、新型コロナが食糧安全保障にも影響を与えていると指摘。農業など食料システムの気候変動への適応を加速させる必要性も強調した。
議長を務めたイタリアのディマイオ外相は「新型コロナは国境を越えた緊急事態に対し、国際的取り組みの必要性を示した」と述べた。
会合には、中国の王毅国務委員兼外相がオンラインで参加。ロシアは次官級を派遣した。ロイター通信によると、ドイツのマース外相は「われわれは中露との話し合いを必要としている」と述べ、中露外相の不在に失望を示した。