フランス、既婚・未婚問わず全女性に人工授精の権利 生命倫理法改正

フランスのマクロン大統領(ロイター)
フランスのマクロン大統領(ロイター)

【パリ=三井美奈】フランス下院は29日、すべての女性に人工授精の権利を認める生命倫理法の改正案を可決し、法案は国会で成立した。欧州ではすでに、英国やスウェーデン、スペインが既婚、独身を問わず女性が精子提供を受ける権利を認めている。

下院の採決は賛成326票に対し、反対が115票。カステックス首相はツイッターで「自由と進歩、平等を認める法だ」と法案成立をたたえた。制度改正後は、女性同士のカップルが提供精子で子供を持った場合、2人とも親として認められる。フランスで精子・卵子バンクは公的機関が運営しており、人工授精には健康保険が適用される。これまでは、男女カップルにのみ認められてきた。

法改正はマクロン大統領が2017年の大統領選で掲げた公約で、国会審議に約2年を要した。与党「共和国前進」や左派野党が支持する一方、保守系野党「共和党」などから、「親の欲望を優先し、国が『父親不在の家庭』を認めてよいのか」との反対が出た。

フランスでは2013年、同性結婚が合法化され、女性同士のカップルが子供を持つ権利を訴えて、法改正を求めてきた。世論調査では67%が制度改正を支持している。政府は代理母出産の容認については「越えられない一線」として否定している。

同法案はまた、精子提供で生まれた子供に、ドナー情報の開示を認める「出自を知る権利」を定めた。これまで、ドナーは開示に同意しない限り匿名だった。憲法評議会の審査の後、法として施行される。