社説検証

G7サミット 産読は対中国の結束評価 朝毎「分断を招く」と懸念

G7サミットで初日の討議に臨む各国首脳ら=6月11日、英コーンウォール(代表撮影・共同)
G7サミットで初日の討議に臨む各国首脳ら=6月11日、英コーンウォール(代表撮影・共同)

英国で開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、民主主義の理念を共有する日米欧の7カ国が、結束して世界のさまざまな問題に取り組む決意を表明した。産経や読売が、国際秩序に挑戦する中国への対抗軸として評価したのに対し、朝日や毎日は、中国排除は世界の分断を招くと懸念を示した。

「米国第一主義」を掲げたトランプ前米政権の4年間、G7は米欧の亀裂が目立ち、機能不全に陥った。2年前のサミットは総括的な首脳宣言をまとめられず、昨年は対面での会議が見送られた。バイデン米政権が国際協調に転換し、G7もまた、各国が足並みをそろえ、活発に動き始めたとしたのは各紙共通の見方である。

「G7が協調体制を取り戻したことを歓迎したい。世界的な課題の解決に向けて手を携え、安定と繁栄への取り組みを主導していってほしい」(日経)「首脳宣言は、手厚い途上国支援を打ち出した。新型コロナウイルスのワクチン10億回分を供与し、年間1000億ドルを目標に資金を拠出して気候変動対策を後押しする。地球規模の課題に責任を果たす意思表示として評価できよう」(毎日)。

G7の最重要課題が、中国への対抗であることは明らかだ。首脳宣言で初めて台湾情勢に触れ、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」したほか、新疆ウイグル自治区、香港をめぐり、基本的自由と人権の尊重を求め、東・南シナ海での強引な海洋進出に懸念を表明した。

産経は「自由や民主主義、法の支配といった普遍的価値観を共有するG7が、専制主義の中国やロシアへの対抗軸となることを鮮明にした」と位置づけ、中国に対抗する上で、「アジア唯一のメンバーである日本は主要な役割を果たすべきだ」と主張した。台湾情勢への言及など「中国への牽制(けんせい)は、4月の菅義偉首相とバイデン米大統領との会談など、日米両国が主導し、さまざまな会合で積み上げてきた流れの集大成」とし、「最前線で中国の脅威に直面する日本の首相として、防衛費の思い切った増額などの決断が求められる」と菅首相に注文を付けた。

読売も「中国の行動に、民主主義諸国が結束して対抗していくという決意を示した意義は大きい」と評した。日経は「中国と経済的結びつきが強い国は多い。G7でもドイツは中国への依存度が高く、日本も例外ではない」とし、「重要なのは各国の事情を踏まえつつ、大きな方向性で足並みをそろえることだ」と強調した。

これに対し朝日は「G7を、中国への対抗的な機構として性格づけるようであれば、時代錯誤というべきだ」と断じ、「現代の世界に必要なのは分断ではなく、法の支配にもとづく包摂的な秩序である」と説いた。その上で、「自由主義が輝きを失ったのは、新興国の台頭だけが理由ではない。先進国自らのなかで格差や差別が続き、民主主義を傷つける扇動政治と自国第一の外交が勢いづいた」とG7の側に反省を求めた。

毎日は「G7が団結して中国排除に動けば世界の分断を招く」との危惧を示し、日本は米中「新冷戦」になれば、対立の最前線に立たされるとして、「それを回避する外交努力こそが、菅義偉政権に求められるのではないか」と論じた。東京は「中国への対抗姿勢を見せるばかりでは不毛である。国際的な課題解決には中国の協力は不可欠だ。中国との協調・共存を図ることを忘れてはならない」と訴えた。

中国は覇権追求の動きを強めている。サミットでの決意表明をどう具体化し、行動を起こすかが重要である。(内畠嗣雅)

■G7サミットに関する主な社説

【産経】

・中国抑止へ行動の時だ/民主主義陣営の結束示した

【朝日】

・信頼回復へ宣言実行を

【毎日】

・世界の分断招かぬように

【読売】

・民主主義諸国の結束を示した

【日経】

・G7の再生を世界の安定につなげよ

【東京】

・地球規模の課題克服を

(いずれも6月15日付)

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