接種加速もワクチン足りない…自治体困惑、計画見直しも

国の供給変わらず

都道府県や市区町村は、7月までの高齢者接種の完了との国の要請に合わせて接種体制を構築。さらに、「10~11月中の希望する国民への接種」という次の目標も迫る。「供給不足」の背景には、全国の自治体の接種能力が高まり、ワクチンの希望量が増えているにもかかわらず、供給が一定量にとどまっていることがあるとみられる。

ファイザー製は2週間ごとに自治体に配分され、5月24日からの2週間分では1万6000箱(1箱1170回接種分)の配分に対し、全国の自治体から1万7693箱の希望があった。ただ、7月5日からの2週間分では配分量が1万1000箱だった一方、希望量は2万848箱まで増加。充足率は約9割から半分程度まで落ち込むことになる。

国によると、全国の自治体は計算上、2回接種で40日分の在庫を抱えており、「今後、(自治体側の)在庫が増えることはない」(河野氏)という。手持ちのワクチンと新たな供給分で接種を進めていくことになり、今後、接種回数のピークを越えることになる。

首相「見通し示す」

既に一部の自治体では、接種速度を調整せざるを得ず、山形市ではワクチンが供給不足となり、6月25日から個別接種の予約受け付けを停止した。供給の見通しが示された後の接種計画見直しで、64歳以下の接種の遅れが懸念されるという。市の担当者は「国の呼びかけに応じて1日の接種回数を高めてきたが、見合った量のワクチンが来なければどうしようもない」と困惑した様子で話した。

都内の自治体関係者は「先に予約を受け付けても、ワクチンが確保できなければ住民に断りの連絡をしなければならなくなる」と話す。菅義偉(すが・よしひで)首相は30日、新型コロナ感染症対策の進捗(しんちょく)に関する関係閣僚会議で「円滑な接種が続けられるよう、今後の配分の見通しを速やかに示す」と述べた。

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