【我流~社会部発】大阪市水道局が「伏魔殿」と呼ばれる日 - 産経ニュース

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我流~社会部発

大阪市水道局が「伏魔殿」と呼ばれる日

大阪市水道局が入るアジア太平洋トレードセンターのビル=大阪市住之江区(矢田幸己撮影)
大阪市水道局が入るアジア太平洋トレードセンターのビル=大阪市住之江区(矢田幸己撮影)

大阪市水道局の複数の職員が競馬に関連する賭博行為をしていた疑惑が発覚した。普段の取材を通じて新型コロナウイルス禍で昼夜を問わず働く市職員の姿に接しているだけに、非常に残念な思いだ。大阪市は過去に何度も不祥事があり、そのたびに反省して再発防止を誓っていたはずだが、もう忘れてしまったのか。

関係者によると、賭博疑惑の舞台は庭窪(にわくぼ)浄水場(大阪府守口市)。職員や勤務経験者ら10人以上が、実在する競走馬のオーナーになったと想定し、競走馬がレースで獲得した賞金に応じてポイントを得る「ペーパーオーナーゲーム」で金銭を賭けていた。大阪市は大阪府警に申告している。

信じがたいことに、職員らは職場のパソコンで収支などを記録し、業務時間中に賭けを行っていた形跡もあった。何年も前から常態化していた上、市役所の外部者も関わっていたとの情報もあるが、賭け事が露見するとは思わなかったのだろうか。バレても大ごとにはならないとでも思っていたのだとすれば、組織的な緩みが土壌にあるのかもしれない。

実際、この問題に対する市当局の反応は鈍かった。

発覚直後、水道局の管理職に取材したが、通り一遍の答えに終始し「警察の捜査に委ねている」とのらりくらり。記者会見を開くなどして市民に説明すべきではないかと水を向けても受け入れられず、「会見は行わない」という言葉だけは力強かった。

喉元過ぎれば熱さを忘れる-というが、大阪市の数々の不祥事はそんなに古い出来事ではない。

例えば平成16年に発覚した職員厚遇問題。退職者に通常のものとは異なる退職一時金や10年間にわたる年金を最大400万円支給していたほか、ずさんな管理体制によるカラ残業、市長部局でのオーダーメードスーツの支給などが判明し、市当局と職員労働組合との長年のなれ合いが問題視された。24年に服務規律を厳格化する職員基本条例が成立したものの、中止したイベント代として交通局が25年に局長の知人の会社に800万円を支払っていたことが翌年、発覚している。

今年3~4月のコロナ下でも、市民に自粛を求めながら、多人数や深夜の会食をしていた大阪市職員が計約1200人いたことが判明した。部局別で最多の160人だったのは、今回の賭博疑惑が持ち上がった水道局だった。

松井一郎市長は以前、コロナ対応に取り組む職員を念頭に「一人一人が大変な状況だが、市民の福祉向上のために死力を尽くすのが公僕としての役割だ」と語っていた。その通りだ。会食問題にとどまらず、賭博疑惑を直視しない水道局の姿勢は、あるべき公僕の姿といえるだろうか。襟を正し、自ら全容をつまびらかにしなければ、「伏魔殿」と呼ばれる日が来るだろう。(社会部 井上浩平)