トランプ氏の不正選挙主張「でたらめ」 前司法長官

ウィリアム・バー氏(AP)
ウィリアム・バー氏(AP)

【ワシントン=黒瀬悦成】昨年11月の米大統領選で「大規模不正があった」とするトランプ前大統領の主張について、トランプ前政権で司法長官を務めたウィリアム・バー氏が「全てでたらめだ」と一蹴していたことが明らかになった。同氏がABCテレビのジョナサン・カール記者とのインタビューで語った内容が27日の米誌アトランティック(電子版)に掲載された。

バー氏はインタビューで、トランプ氏による「不正選挙」の主張について「仮に不正の証拠があれば私としては隠蔽する気はなかった。だが、私は(不正など)どこにも存在しないとずっと思っていた。(主張は)全てがでたらめだったのだ」と指摘した。

バー氏はトランプ氏の忠臣として知られ、大統領選の前は同氏の意を受けて「郵便投票の増加で不正が横行している」などと発言していた。しかし、昨年12月のAP通信とのインタビューでは「選挙結果を覆す大規模不正は確認されていない」と明言した。

同誌によると、トランプ氏はこれを受けてホワイトハウスでバー氏に「何てことをしやがる。お前は俺が嫌いなんだろう」と厳しく罵倒。結局、バー氏は約2週間後に辞任した。

また、バー氏は上院共和党トップのマコネル院内総務から昨年11月中旬以降、トランプ氏の主張に反論するよう水面下で求められたとしている。

マコネル氏は、トランプ氏の主張は「米国にとって有害だ」としつつ、共和党が上院の多数を維持できるかどうかを左右する1月の南部ジョージア州での上院選決選投票をにらみトランプ氏との関係を維持する必要から、自身は矢面に立てないと説明したという。

これに対し、トランプ氏は28日の声明で「バー氏には完全に失望した。彼の弱さが、世紀の犯罪である大統領選不正の隠蔽に加担した」と主張した。

会員限定記事会員サービス詳細