こちらも販売好調で、同期間の販売量は前年同期比5割増。多い日は、1日で一升瓶120本が出る。
日本酒に新しい風を吹き込む新保氏だが、もともとは新潟県湯沢町のリゾートホテルなどを運営する観光事業会社の経営者である。
「ホテルなどで出す高品質な日本酒を探していたが、なかなか見つからなかった。そこで、自分で造るしかないと考え、後継者難に陥っていた老舗酒蔵の株式を取得し、平成25年から苗場酒造として運営を始めた」(新保氏)
酒造りでは、精米した米を洗う洗米や原料の麹をつくる製麹(せいきく)、醪をつくる仕込み、熟成した醪を絞る上槽のほとんどを手作業で行い、繊細かつ手間をかけて丁寧な酒造りを行っている。
水は、新潟県南部と長野県北東部にまたがる苗場山の伏流水や、井戸水などを使用。米は地元・津南町の契約農家やJAから仕入れた五百万石や、新潟産こしいぶきなどを使っている。これらの原料で主要銘柄の「苗場山」12銘柄、「醸す森」3銘柄の計15銘柄を醸している。
販売では、アマゾンなどの通販サイト、テレビショッピングなども活用。さらに、香港や米国、英国、シンガポールなどにも販路を持つ。
新保氏は「米、水、人、風土に恵まれ、国内でも有数の酒造りの環境が整っている津南町の良さを生かして、世界のアルコール市場で通用する高品質の日本酒を造りたい」と意気込む。
(本田賢一)
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【苗場酒造】 明治40年創業。新潟県津南町下船渡戊555。代表銘柄=苗場山、醸す森。電話025・765・2011。ウイルス・雑菌対策もあり、酒蔵見学については要相談。