【主張】警察庁サイバー局 情報機関創設への一歩に - 産経ニュース

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警察庁サイバー局 情報機関創設への一歩に

横行する重大サイバー犯罪に対応するため、警察庁は「サイバー局」を創設し、その傘下に独自捜査に当たる約200人の「サイバー直轄隊(仮称)」を置く。

サイバー犯罪に都道府県境はない。中国やロシア、北朝鮮などによる国家レベルのサイバー攻撃まで対抗していくには、米国の連邦捜査局(FBI)のような国家の機関が捜査に当たるのが世界的な流れである。

人材を警察庁に集中させて捜査の一元化を図る意義は大きい。サイバー局は令和4年度中に創設される見通しだ。

警察庁は従来、法律の立案や都道府県警間の連絡調整に当たる警察行政に特化し、直接捜査する権限はなかった。そこで警察法を改正し、警察庁の役割に「重大サイバー事件の捜査、対策」といった趣旨の文言を盛り込み、家宅捜索や容疑者の逮捕も可能とする。

サイバー空間は国境も超越する。捜査は一国では完結しない場合もある。警察庁には、国際合同捜査や情報交換の面でも期待がかかる。

一方で、各国でサイバー事案に関わるのは、攻める側も守る側も多くは情報機関や軍だ。だが日本には本格的な情報機関がなく、自衛隊には行動に制約が多い。

米国の国家安全保障局(NSA)は、英国の国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)と協力体制を構築し、露政府系ハッカー集団によるサイバー攻撃の実態を公表した。欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会は、EU加盟国がサイバー攻撃情報を共有するシステムの導入計画をまとめた。こうした潮流に本格参加するには、日本にも情報機関が必要だ。

日本では現在、警察、自衛隊の他にも総務省や経済産業省がサイバー対策に当たっている。内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)がこれらの連携、統括を担っているが、十分に機能しているとは言い難い。陣容も予算も実績も物足りない。

日本オリンピック委員会(JOC)は25日、昨年4月にサイバー攻撃を受け、情報を暗号化して復元のために身代金を要求する「ランサムウエア」に感染したことを明らかにした。

どこでも標的になり得るということだ。新局の創設や体制強化は焦眉の急である。