主張

経産官僚の詐欺 信頼失墜させた罪は重い

耳を疑う事件である。経済産業省の2人の若手キャリア官僚が新型コロナウイルス対策の給付金を詐取した疑いで逮捕された。

給付金制度を熟知する官僚が実体のないペーパーカンパニーを使い、コロナ禍で苦しむ中小企業向けの給付金をいとも簡単にだまし取っていた。行政に対する信頼を根底から揺るがす深刻な事態である。

不正に得た金の大半をブランド品の購入などに充て、派手な私生活を送っていたというのだから開いた口がふさがらない。

捜査当局と経産省は余罪の有無を含め、事件の全容解明を急いでもらいたい。他省庁でも同様の事案がないかも調べるべきだ。

そのうえで再発防止に向け、給付金制度の見直しも検討する必要がある。コロナ関連の給付金は、経営が悪化した中小・零細事業者に早期支給できるように審査を簡素化してきた。早期支給との両立を図りつつ、事後チェックの厳格化などの対策が欠かせない。

警視庁に詐欺容疑で逮捕された同省経済産業政策局の桜井真容疑者と新井雄太郎容疑者は、コロナ禍で売上高が減少した中小企業向けの「家賃支援給付金」を約550万円詐取していた疑いが持たれており、2人は容疑をおおむね認めているという。

手口は悪質だ。2人が設立した架空の会社が事務所を複数賃貸しているように見せかけ、申請に必要な書類も偽造していた。2人は摘発を逃れるため、共謀して証拠を隠滅した疑いもある。中小企業向けの持続化給付金を詐取した可能性もあり、徹底的に追及しなければならない。

梶山弘志経産相は今回の事件について「高い倫理意識が求められる国家公務員にこうした案件が発生したことは誠に遺憾だ」などと陳謝した。

家賃支援給付金は昨年7月から今年2月まで申請を受け付け、中小企業や個人事業主らに合計で約9千億円を給付した。持続化給付金は約5・5兆円を支給した。ともに速やかな支給を目指したことで審査が甘くなり、不正受給が相次ぐ事態を招いている。

同省は不正受給者に自主返納を呼び掛け、家賃支援金で約6億7千万円、持続化給付金では約144億円が返納された。抜き打ち検査の強化など実効性のある再発防止策も講じるべきだ。

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