「上着のポケットに現金…」鶏卵汚職事件初公判で検察指摘

元農林水産相の吉川貴盛被告(70)=収賄罪で在宅起訴=に現金500万円を渡したなどとして贈賄と政治資金規正法違反の罪に問われた鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)元代表、秋田善祺(よしき)被告(87)の初公判が28日、東京地裁(向井香津子裁判長)で開かれ、秋田被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

検察側は冒頭陳述で、秋田被告が養鶏業界団体を実質的に統括していた平成30年、家畜のストレスを減らす飼育方法「アニマルウェルフェア(AW)」の国際基準の新たな規約案が提示され、導入されれば「国内の養鶏業者が壊滅的な経済的打撃を受ける」と懸念したと指摘。

当時農水相だった吉川被告に反対意見を取りまとめてもらうため現金を渡そうと決断し、秋田被告が同年11月21日、東京都内のホテルで開いた吉川被告の農水相就任を祝う会で、吉川被告がトイレに立った際、「お祝いです」と言いながら上着のポケットにねじ込むように現金200万円を渡したと、現金授受の生々しい状況を明らかにした。

AWの国際基準の規約案は、採卵鶏の飼育に巣箱などの設置を求めており、日本で約9割を占めるとされるケージ飼育の見直しが迫られる内容だった。

起訴状によると、秋田被告は30年11月~令和元年8月、農水相在任中の吉川被告に対し、AWの国際基準への反対意見を取りまとめるなど業界に便宜を図ってもらう趣旨で、計500万円を都内のホテルや大臣室で渡したなどとしている。

事件をめぐっては今月3日、政策への影響を検証していた農水省の第三者委員会が、政策が不当にゆがめられた事実は確認されなかったが、吉川被告から職員への働き掛けがあったとする報告書を提出した。

吉川被告の公判期日は未定。

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