大リーグ通信

暗黙のルール一つ消える ダルビッシュも不信、ボールへの粘着物質が禁止騒動

ジャイアンツ戦の2回を投げ終え、審判員による粘着物質のチェックを受けるエンゼルス・大谷=アナハイム(共同)
ジャイアンツ戦の2回を投げ終え、審判員による粘着物質のチェックを受けるエンゼルス・大谷=アナハイム(共同)

メジャーで通用していた〝暗黙の了解〟の一つが消えた。投手が滑りやすいボールに対処するため、密かに付けていたロージン以外の物質の使用が6月21日から事実上「禁止」となった。試合中、先発投手が初回にマウンドを降りる際やリリーフ投手が交代する際など、審判団から指や帽子などを確認されるシーンが、ブーイングとともに見られた。シーズン中の突然の厳罰化に戸惑いと不信感が広がっている。

公式ルールでは、マウンドに立つ投手が指に付けられるのはロージンのみ。だが、メジャーでは松やにのような粘着物質を指先に付けて投球するケースが多かった。滑りやすいボールへの対処法で本来なら禁止事項。だが、メジャーに数多くある〝暗黙の了解〟の一つだった。

ところが、その粘着物質が〝進化〟。従来の松やにに代わり、「スパイダータック」と呼ばれる重量挙げに使われることが多い粘着力の強い物質を指に付けることがここ数年増えた。効果はてきめんで、球の回転数は大幅にアップ、フォーシームはより速くなり、変化球はより鋭くなった。成績が上昇し、有利な契約を勝ち取る投手まで現れたといわれる。

打撃面のフライボール革命によって本塁打が異常なまでに増え打高投低だったのが、一転してメジャー全体で打率は2割3分台に落ち込み、一気に投高打低になった。そこで粘着物質の取り締まりを強化して、罰則も厳しくすることにしたのだ。マンフレッド・コミッショナーによると、2カ月にわたってボールの検査と第三者の検査官の手でデータを収集して決定したという。

先発投手は複数回、救援はイニング終了時か降板時に、さらに捕手も審判のチェックを受ける。拒否したり、違反が見つかった選手は退場や10試合出場停止処分を受ける。

突然の変更に、特に球の滑りやすさの違いに苦労してきた日本選手は敏感に反応した。

ダルビッシュは自身のツイッターで「MLB側もボールの改善をしないかわりに、自分達で〝うまいこと対応してね〟って態度で(中略)なのにMLBはここにきていきなり〝え?あなた達そんなことしてたの?ダメじゃん!もうダメだからね〟って態度変えた風に感じます」とかみついた。「ボールを変えることが先だと思う」と指摘した。