主張

子供の接種 感染予防に学校の活用を

なぜ学校の活用を妨げるのか首をひねる。

新型コロナウイルスの感染予防で、12~15歳の児童生徒への学校での集団接種について、文部科学省と厚生労働省が「現時点では推奨しない」とする通知を出した。

いまは、あらゆる機会を活用し、適切に接種の加速を図るときではないか。水を差す誤ったメッセージになりかねない。

通知は今月22日で、ワクチン接種の強制につながらないよう、授業時間内での接種は避けるなど対応を求めた。

萩生田光一文科相は閣議後会見で、理由について「いじめなどにつながることも心配される」などと指摘した。

接種する子供と、接種しない子供の差別化が起きるという。同じ会見で、保護者の同意の下、個別接種でかかりつけ医でやっていただきたいとも述べた。それで差別化は起きないのか。友達に隠れて接種すれば、いじめはなくなるのか。支離滅裂である。

厚労省はすでに米ファイザー製ワクチンの対象年齢を16歳以上から12歳以上へと引き下げた。米モデルナ製についても、同様に対象年齢を拡大する方向で検討が進められている。

いま重要なのは、副反応の情報を含め、感染予防にワクチンが有効であることを適切に教えることである。いじめは卑怯(ひきょう)で許されない行為だとしっかり説くことこそ教育というものだ。

ワクチン接種を「強制」などとして腰が引けるのも、うなずけない。萩生田氏の説明には学校、教育委員会などを含めた教育界の事なかれ主義も透けてみえる。

12歳以上の接種をめぐっては、河野太郎ワクチン担当相が今月20日のテレビ番組で「夏休み中に打ってもらいたい」と発言したが、翌日に「夏休み中にこだわらない」と修正した。自治体から12歳以上の子供の接種を「前倒ししなければいけないのか」など問い合わせが相次いだためだという。

高齢者への接種が進んでおり、活動的な若者も含めて対象が広がりつつある。自治体の接種の対応状況によって適切に行えばいいことで、河野発言は抗議されるようなことなのか。

同氏が当初指摘したように、夏休みに接種できれば2学期は心配せずに学校に行ける。学校を接種の場として外すべきではない。

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