【ロンドン=板東和正】2014年の香港民主化要求デモ「雨傘運動」の指導者の一人、羅冠聡(ネイサン・ロー)氏(27)が28日までに亡命先のロンドンで産経新聞の取材に応じた。昨年6月末に香港国家安全維持法(国安法)が施行されてから1年となるのを前に「国安法により香港の自由は急速に失われ、高度な自治を保障した『一国二制度』は消失した」と指摘。民主化運動が武力鎮圧された1989年の天安門事件から「(言論を弾圧する)中国政府の方針は変わっていない」とし、民主主義国家が連携して対処する必要性を訴えた。
羅氏は国安法の制定で香港での民主化運動が困難になったため、昨年6月末ごろに渡英。今年4月に英政府が自身の亡命申請を承認したと発表した。
「亡命が認められたことで英国に安定して滞在でき、安堵(あんど)した」と語る羅氏は、香港でのこの1年について「中国政府が公共の秩序を守るという名目で、市民の言論や集会の自由を制限していることは明白だ」と強調。蘋果日報(アップルデイリー)が発行停止に追い込まれたことを「報道の自由に対する忌まわしい攻撃」とし、「蘋果日報は民主化運動を支持しているため、中国共産党に殺された」と非難した。
また、ともに雨傘運動を率いた民主化活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏が無許可集会扇動の罪で実刑判決を受け、服役したことを「非常に怒りを感じた」と振り返った。周氏が今月12日に出所したことについては「休息をとって元気になってほしい。周氏は不屈の精神を持った活動家。この経験を乗り越え、さらに強くなると信じる」と話した。