震災の教訓と記憶、克明に 宮城・石巻に新たな伝承施設

みやぎ東日本大震災津波伝承館は、石巻でも被害の大きかった南浜地区に建てられた=宮城県石巻市(大柳聡庸撮影)
みやぎ東日本大震災津波伝承館は、石巻でも被害の大きかった南浜地区に建てられた=宮城県石巻市(大柳聡庸撮影)

平成23年3月11日に発生した東日本大震災の教訓と記憶を伝えるための「伝承館」が、被災地に新たに完成した。宮城県石巻市南浜地区に6月6日、「みやぎ東日本大震災津波伝承館」がオープン。同様の施設は岩手、福島の両県でもすでにオープンしており、今後は施設同士の連携も期待される。

「まもなく上映が始まりますが、途中で津波の映像が流れます。気分の悪くなった方は申し出てください」

震災当時の様子や津波に遭った人たちの言葉をまとめた10分ほどの映像をシアターで流す前、みやぎ東日本大震災津波伝承館の係員はこう呼びかけた。映像では、津波やそれに伴う火災といった被害状況が示されたほか、被災した人々が異口同音に「津波が来たら迷わず逃げることを考えてほしい」と訴える。

施設では、住民らが当時の状況や復興への歩みを証言する動画や語り部の紹介など、9つのコーナーを開設した。伝承館を訪れていた石巻市に住む無職男性(81)は義理の姉を津波で亡くしたといい、「すぐに逃げるという教訓を改めて感じた」と話していた。

みやぎ東日本大震災津波伝承館では、さまざまなパネルを使って津波の恐ろしさと対策を訴える=宮城県石巻市(大柳聡庸撮影)
みやぎ東日本大震災津波伝承館では、さまざまなパネルを使って津波の恐ろしさと対策を訴える=宮城県石巻市(大柳聡庸撮影)

伝承館は、約4000人が亡くなった石巻市の中でも、500人超が犠牲になった同市南浜地区に整備された「石巻南浜津波復興祈念公園」の中にある。公園自体は3月28日に完成したが、新型コロナウイルスの感染拡大のあおりを受け、伝承館の開館は6月となった。密集を避けるため、団体客の受け入れも今月22日までずれこんだ。

伝承館を管理・運営する宮城県東部地方振興事務所の石濱秀平総括次長は「なにより命が大事。とにかく逃げることを伝えたい」と強調する。