子ども点描

ゴールに近づけば駆け出す「目標勾配」

新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、収束への道筋が少し見えてきました。依然として不安定な状況ではありますが、子どもたちの教育にも光が差してきたように感じています。

その新型コロナは、思いがけず私たちの中に潜んでいる心理的な特徴を浮かび上がらせてくれました。今回はそれについて、子どもの行動を例にお話ししたいと思います。

久しぶりにゆうちゃんの登場です。今回も楽しみにしていた遠足の話です。みんなで公園に行くのです。バスを降りて並んで公園に向かって歩いてゆきます。角を曲がると入り口が見えてきました。みんな、少しはや足になっています。先生が「急がないで」と声を掛けます。1人の子どもが駆け出してしまいました。「あー」という声があちこちで起き、何人かが追随します。

ゆうちゃんもよく分からずに駆け出し、入り口まで行きました。最初はみんなと普通に歩いていたのに、どうして走り出してしまったのでしょうか?

「目標勾配」という現象があります。目標までの距離が近くなれば近くなるほど、その対象に到達したいという気持ちが強くなり、より早く対象に近づこうという行動に出ます。このような対象までの距離が生み出す心理的な勾配は、「いやだなあ」というマイナス面でも働きます。遠足やおでかけは待ち遠しいが、みんなの前での発表会などはマイナスの例でしょうか。その日が近づけば近づくほど、どんどん緊張が高まり、気持ちがブルーになってしまうのです。