主張

国勢調査 人口減に耐え得る社会を

人口の減少傾向が続いている。昨年実施された国勢調査で日本の総人口が1億2622万6568人となり、5年前の前回調査時よりも約86万8千人減った。

国連推計によると、日本の人口は世界で11位になる。比較可能な1950年以降、上位10カ国から日本が外れたのは初めてである。

年齢・男女ごとの人口分布をみれば、総人口が今後も減り続けることは避けようがない。大切なのは、少子高齢化がもたらしたこの現実を直視し、それに耐え得る社会への転換を図ることだ。対応を誤れば、日本の国力が衰退してしまうと認識する必要がある。

調査では、外国人の増加などで減少率がわずかに改善した。ただし、昨年1月の人口動態調査によると、出産・子育ての中心となる20~30代と比べて0~19歳の男女は2割程度少ない。少子化が一段と進行する中では、今後の出生数の大幅な改善も期待しにくい。

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によると、40年後の人口は9千万人を下回り、現在より3割少なくなるとみられる。この趨勢(すうせい)を少しでも和らげるため少子化対策などに万全を尽くすべきはもちろんだ。

同時に、人口が減っても一人一人が豊かさを享受できるよう発想を転換し、社会や経済の構造を変革しなくてはならない。

今回の調査では、東京都や神奈川県などの首都圏で人口が増える一方、38道府県では減るなど人口の偏在も加速している。すでに全国1719市町村のうち8割以上で人口が減っている。

この傾向が続き、わずかな住民しかいない地域がまばらに分散するようになると、地方自治体によるきめ細かな行政サービスなどが難しくなる懸念もある。これを避けるためにも、できるだけ多くの人が近くに住み、周辺に暮らしの基盤を集約するコンパクトな町づくりを進めたい。高齢者らが徒歩圏内で日常生活を営めるようになれば生活の不便も少なくなる。

今秋までに衆院選がある。与野党とも選挙のたびに子育て支援などを掲げるが、その前提として人口減時代に目指すべき社会・経済の将来像を具体的に語り、そのための処方箋を示してほしい。人口減に対処するには、対症療法ではなく長期的視点が必要だ。そのための議論を深めるときである。

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