健常な人に精神障害のふりをさせて精神科病院に送り込む実験を通じて、精神科医療の問題点を暴き出した米国の心理学者、ローゼンハン。本書は、1973年に米国中にセンセーションを巻き起こした同氏の潜入実験の真相を探ったノンフィクション。
同氏によって、電気ショック療法など非科学的で危険な治療も行われていた当時の精神科医療の大改革につながった。しかし、著者が調べると、潜入実験には大きな不正行為があった。糖尿病における血糖値のような客観的指標がない疾患に対して、科学はどうあるべきかを問いかける。(亜紀書房・2420円)