【ワシントン=黒瀬悦成】昨年の米大統領選で敗退したトランプ前大統領は26日、中西部オハイオ州ウェリントンで支持者集会を開いた。トランプ氏は2月末、地元の南部フロリダ州での保守系団体の会合で退任後初めて演説しているが、自身の陣営による集会は初めて。昨年の大統領選で「本当は自分が勝っていた」と現在も主張するトランプ氏は集会で「3回目の勝利もあるかもしれない」と述べ、2024年の次期大統領選への出馬に含みを持たせた。
トランプ氏は、バイデン大統領が寛容な移民政策を進めるなどして米国を壊していると批判し、来年11月の中間選挙で「下院と上院を(与党の民主党から)奪還し、米国を取り戻す」と表明した。
民主党は上院(定数100)で共和党と50対50で勢力が拮抗(きっこう)。下院でも共和党に9議席上回っているに過ぎない。トランプ氏としては来年の中間選挙をにらみ、同党の上下両院議員への影響力をさらに高めたい思惑がある。
特にトランプ氏は、自身の支持勢力による1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件を受けた同氏の弾劾を支持した共和党下院議員10人を党の予備選で追い落とすと表明。オハイオ州でも、弾劾を支持したゴンザレス議員の再選阻止に向け、元ホワイトハウス側近のマックス・ミラー氏を刺客として送り込んでいる。
トランプ氏は今後、30日に南部テキサス州のメキシコ国境を訪れるほか、7月3日には南部フロリダ州サラソタで集会を予定するなど、政治活動を本格再開させつつある。
一方でトランプ氏はツイッターなどソーシャルメディアのアカウントを凍結されたままで、情報発信力は以前に比べ低下している。また、米紙ニューヨーク・タイムズによれば東部ニューヨーク州の検察当局がトランプ氏一族経営の複合企業を訴追する可能性があると報じており、同氏が大統領選に再出馬するかどうかは不確定要素も多い。