朝晴れエッセー

祖母への想い・6月27日

時間とものを持て余している両親が始めたのは、終活ともいえる断捨離。

母方の親戚が撮影してくれていた8ミリフィルムが見つかり、父が編集し1本のDVDとなった。「これみるか?」と手渡され、期待を胸にそそくさと実家を後にした。

初めて見るセピア色の景色になにか懐かしさを感じた。

立派な結納品の前で、はにかむ若かりし母。その横に、夫である祖父の遺影を抱き寡黙にたたずむ祖母。

続いて、生家の玄関幕をくぐり、親戚たちに見守られ慎ましやかに花嫁専用車に乗り込む母。その横に、不安げながらも娘を静かに送り出す祖母の姿があった。

大正生まれの祖母は、6人きょうだいの長女としてきょうだいの世話をするのが当たり前の時代を生きた。

旦那を先に、跡取りである息子にまで先立たれ、女手ひとつで娘である母を育て嫁がせた。独り懸命に働き、誰に迷惑をかけることなく生きた。

今はもう母と私のこと、大好きだった食べるということも忘れてしまっている。面会制限で、顔を見ることもできない。

家族が望むことはただ一つ。

頑張って長生きしてとはいいません。先に行った家族たちが待つ世に旅立つまでは、安寧に過ごし、コロナ禍が最期のときを阻むことがないように!

おばあちゃん、今あなたは幸せですか?


吉田奈美(47) 奈良県橿原市