主張

国軍トップの訪露 「血の弾圧」に加担するな

ミャンマーでクーデターを起こした国軍のトップ、ミン・アウン・フライン総司令官がロシアを訪問した。ロシア側はショイグ国防相らプーチン大統領側近が相次ぎ会談し、厚遇で応じた。

総司令官は「ロシアのおかげで国軍は強力になった」と表明した。双方は、外国のミャンマー内政干渉への反対を確認し、協力強化について話し合った。

クーデターの首謀者へのロシアのこうした対応は、力ずくの権力奪取や抗議の群衆への殺戮(さつりく)にお墨付きを与えるもので、強い憤りを覚える。「血の弾圧」の死者は870人を超している。国軍が市民を銃撃などで無差別に殺害したものだ。ロシア政府と軍は、これを是とするのか。

クーデターを日本や米欧が非難し、国軍が国際社会で孤立を深める中、中国とロシアは一貫して、その後ろ盾となってきた。

国連安全保障理事会での国軍制裁の動きに反対し、ミャンマーへの武器流出を防ぐ国連総会決議は棄権した。中露はミャンマーへの最大の武器供給国でもある。

3月に首都ネピドーで開催された国軍記念日の式典には、フォミン露国防次官が出席したが、本国からの高官派遣はロシアだけで、両国の友好関係を印象付けた。

総司令官は4月、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に出席し、暴力停止や対話開始を約束したが、履行する気配もない。身勝手な態度が中露の擁護に支えられているのは明らかだ。

懸念されるのは、市民の側が武装して抵抗する動きをみせ、連動するかのように、国軍側や協力者を狙った襲撃、爆弾事件が増えていることだ。本格的な内戦に発展する恐れが指摘される。

ミャンマー情勢は、地域の平和と安全への重大な脅威になったと認識する必要がある。中露の責任は極めて重い。

中露は専制主義の大国である。支援するのは中露同様、独裁体制が強権支配し、人権を無視し、国際秩序を揺るがす国々である。

核・弾道ミサイルの挑発を続ける北朝鮮はその典型例だ。中露は安保理常任理事国の一角を占め、その特権が、強権国家の擁護に使われるのは大きな問題だ。

ミャンマー民主化の流れを何としても取り戻したい。それは、専制主義の拡大を食い止めることでもある。