話の肖像画

ジャパネットたかた創業者・高田明(72)(16)「ラジオ通販番組」の衝撃

店頭で行ったカラオケ大会では自らも歌い、会場を盛り上げた
店頭で行ったカラオケ大会では自らも歌い、会場を盛り上げた

(15)へ戻る

《平成2年にNBC長崎放送からラジオでのショッピング番組に誘われた》

最初の出演で紹介したのは富士フイルムのコンパクトカメラ「カルディア」です。わずか5分間でしたが、軽量で使いやすさを強調、ズーム機能などを説明したうえで1台1万9800円というお買い得感を訴えました。生放送でラジオカーがお店まで来てくれたので反響はすぐわかります。少しは注文がくるかな、とフリーダイヤルの臨時回線を2本用意したのですが、番組終了直後から電話が鳴りやまない。結局、1日で50台売れました。5分間の出演でうちのカルディアの年間販売数を超え、売り上げが100万円。うなりましたね。

当時はNBCの通販番組は年2回だけ。僕は放送後、すぐ担当者に、「毎月やらせてほしい」と頼みました。1年くらいでようやく月1回になり、その2年後には毎週、出演するようになりました。その後も、週2回と出演を増やしていきました。

《通販番組での商品説明には、訪問販売の経験が役立った》

独立して3年後の平成元年、ソニーの家庭用ビデオカメラ「ハンディカム」に「パスポートサイズ」が登場しました。多機能のうえに小型、さらにテレビにつなげればすぐ映像が見られる。「これは売れる」と直感的にひらめき、ソニーの佐世保営業所に何度も通って「特約店」にしてもらいました。そしてより多くのお客さんに買ってもらうために店頭だけでなく、訪問販売を始めたのです。

長年、フィルムと写真の集配を続けてきたので、佐世保近郊にお子さまをもつ家庭がどこにおられるか、わかっています。その家庭にアポを取ってお邪魔し、お子さんやお孫さんをハンディカムで撮り、すぐテレビにつないで映像をみてもらいました。テレビには特別な人だけが出ていた時代。わが子やお孫さんがたちまち「テレビの銀幕スター」になる。みなさん感動されていましたね。

金利が高い時代でしたので、「分割払いでも、お金に余裕がない」という人には低金利の分割を提案しました。この提案の少し前、僕も子供を撮影したくて50万円くらいのビデオカメラを買ったことがあってローンを組んだのですが、計60万円以上かかった。金利が10万円以上、相当な負担ですよね。この経験から、お客さんの金利分は負担してあげられたらいいだろうな、と思っていたんです。喜ばれましたね。これが今の「ジャパネットたかた」の金利負担につながっています。結果、販売台数は月100台くらいで九州で一番、ハンディカムを売る店になっていました。

次の挑戦はカラオケ機器でした。このときはお店でカラオケ大会を開いて販売をしたんです。僕は審査委員もやりました。ちょっとした舞台でレーザーディスクのきれいな映像を見ながら美空ひばりさんを気持ちよく歌えば、買ってみようかな、となりますよね。訪問販売やカラオケ大会ではもちろん原稿はありません。商品のよさを伝えて買っていただくには、話す内容は計算せず、感じたことを誠意をもって語りかける。それがお客さんの「買ってみよう」につながる。訪問販売で学んだ哲学を通販番組でも貫きました。

《クレームには細心の注意を払った》

商品のクレームが放送局に行くようなことがあったら、絶対に出演は続きません。僕はラジオ通販の番組をやっていた3年間で、クレームを受けた記憶があまりないんです。1、2回かな。商品の調子が悪いと連絡があればほとんど新品に交換しました。メーカーさんとよく協議しながら信頼関係を築いて、新品を用意してもらう。クレーム対応もお客さんの安心を第一に考え、対処していました。(聞き手 大野正利)

(17)へ進む