安倍前首相、全国行脚を本格化 細田派復帰に着々

東京都議選の自民党公認候補の応援に駆け付け、聴取の声かけに応じる安倍晋三前首相=25日午前、東京都荒川区(沢田大典撮影)
東京都議選の自民党公認候補の応援に駆け付け、聴取の声かけに応じる安倍晋三前首相=25日午前、東京都荒川区(沢田大典撮影)

自民党の安倍晋三前首相は25日、同日告示された東京都議選の応援や、秋までにある衆院選に向けた全国行脚を本格化させた。この日訪れた前橋市を含む衆院群馬1区は、安倍氏の出身派閥である最大勢力の細田派(清和政策研究会)と二階俊博幹事長率いる二階派(志帥会)にそれぞれ所属する現職議員が党公認をめぐり暗闘を繰り広げている。安倍氏の参戦で、両派の神経戦は強まりそうだ。

安倍氏は25日午前、東京都荒川区の神社などで党公認候補の応援演説を行った。新型コロナウイルス禍での東京五輪・パラリンピックについて「大変だが、挑戦し成功させることが世界の希望につながり、勇気を与える」と意義を強調した。追加経済対策の必要性にも言及した。

同日午後、安倍氏は前橋市に向かい、尾身朝子衆院議員の集会で講演した。背景には群馬1区の公認争いがあり、尾身氏と中曽根康隆氏=比例北関東=がしのぎを削っている。尾身氏は細田派に所属し、父は安倍氏に近い幸次元財務相。中曽根氏は二階派に所属し、祖父に康弘元首相、父に弘文元外相を持つ。

中曽根氏は前回衆院選で選挙区からの出馬を逃し、比例単独候補として初当選した。今回は選挙区へのくら替えを狙っており、二階派の圧力は強い。

二階氏は3月の党大会で、令和2年の党員獲得数が多かった国会議員上位10人を発表し、中曽根氏は8位に入った。二階氏は記者会見で、党員獲得数を公認の参考にするか問われ「当然だ」と述べている。二階派議員は「中曽根ブランドのほうが強い。差し替えるべきだ」と言い切る。

こうした状況に危機感を抱いた尾身氏側が安倍氏に講師を依頼した。集会後、安倍氏は記者団に「前回衆院選で相手を比例復活当選もさせず完勝した。尾身氏が公認候補でなくなることはあり得ない」と述べた。中曽根氏の処遇については「県連や党本部でよく協議をしてもらいたい」と語った。安倍氏は細田派と二階派の現職が公認を争う別の選挙区にも訪問する計画がある。

安倍氏は細田派への復帰を視野に入れており、衆院選後は数の力を背景にキングメーカーとなる可能性がある。細田派幹部は「衆院選後は『安倍派』になるだろう。安倍氏は所属議員を当選させるよう汗をかき、着々と足場を固めている」と解説した。(沢田大典、柳原一哉)

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